2018年(平成30年) 7月28日(土)付紙面より
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庄内地方の夏の味覚「なんぜんじ」作りが、庄内の各豆腐店で盛んに行われている。大豆の甘い風味と軟らかく口当たりが良い食感が特長で、暑い季節に欠かせない風物詩として親しまれている。
なんぜんじ豆腐は酒田市の南禅寺屋が元祖といわれ、おわんのような半球状の形をしているのが特徴。南禅寺屋の祖先がお伊勢参りの途中で病気になり、路銀を使い果たしたため京都の南禅寺で、住み込みで働いた。そこで丸く軟らかい豆腐に出合い、作り方を学び庄内で「南禅寺豆腐」として売り始めたといわれている。
鶴岡市泉町の「難波とうふ店」(難波亨代表)では、例年に比べて2週間ほど早い6月上旬から作り始めた。お盆の時期の8月12日ごろから最盛期を迎え、9月10日ごろまで製造が続くという。
27日午前は、従業員5人が早朝からなんぜんじ作りに追われた。寄せ豆腐をすくって専用の型枠に少し山盛りにして入れ、重しを載せて固めた後、型から外し冷水に浸し、一つずつ丁寧にすくい上げてケースに入れた。従業員たちは手際よく作業を進め、なんぜんじが次々と冷水に浸された。同店では現在1日約700個を製造。最盛期には1000個近くを製造するという。
難波代表は「暑い日が続いた影響で例年より早くから問い合わせがあった。若い人にも人気が出てきているようだ。好みの薬味を添えてさっぱりと食べてほしい」と話していた。