2018年(平成30年) 9月20日(木)付紙面より
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鶴岡商工会議所(早坂剛会頭)主催の「庄内における高速交通基盤整備と地域活性化を考える」と題したシンポジウムが18日、鶴岡市のグランドエル・サンで開かれた。国土交通省航空局航空ネットワーク部の奥田薫空港計画課長、ANA総合研究所の岡田晃代表取締役社長の講演を通じ、インバウンド(訪日外国人旅行)も視野に入れた観光や地域産業の振興に向け、庄内空港の滑走路延長をはじめとする同空港の機能拡充について理解を深めた。
鶴岡商議所は、産業を含む地域活性化には高速交通網の整備が欠かせないため、民間サイドから整備促進に向けた働き掛けを強め地元の熱意をアピールする機会にと、2015年度から庄内開発協議会(会長・丸山至酒田市長)と連携し、国交省や交通事業者の幹部を講師に迎えるシンポジウムを開催している。
4回目の今回は、1991年10月の開港以来の累計搭乗者数1000万人を達成した庄内空港をテーマに、現行の2000メートル滑走路の2500メートル化実現を掲げて開催。庄内一円から約450人が参加した。
全日空の専務などを歴任したANA総研の岡田社長は「庄内空港と地域活性化―インバウンド需要の創出」と題して講演。国内への外国人旅行者が増加する中、東京や京都などのいわゆる「ゴールデンルート」以外の地方へも外国人が訪れつつある動向を紹介し、「庄内はまだ外国人旅行者が少ないホワイトスポット(空白域)。だからこそ、誘客のチャンスがある。庄内全域を『庄内田園リゾート』として売り込むのも一つの方向性。事業者を発掘して支援し、人材を育て、庄内全体でより広域的な視点で取り組んでほしい」と提言した。
「航空行政の現状と展望―地方空港等の機能強化」と題して講演した奥田課長は、空港整備に対する国の支援制度や、北海道ブランドを生かして外国人旅行者が増えている青森空港、県管理空港で近隣国からの受け入れに積極的で滑走路の2500メートル延長を目指す佐賀空港などの取り組みを説明。庄内空港の滑走路延長については「費用対効果をどう考えるか難しい。ポイントは現状の2000メートルと2500メートルとは、どう違うのかが課題。頑張っているところをどのように支援するか見極めなければならず、庄内空港についても管理する山形県と一緒に検討していきたい」と述べた。
講演に先立ち、鶴岡商議所の早坂会頭はあいさつで「庄内空港の滑走路延長は庄内全体の重要課題。庄内地域の活性化のため、空港の活用、機能拡充に一緒に行動していこう」と呼び掛けた。
また、庄内開発協議会長の丸山至酒田市長が、庄内空港の滑走路延長に関する国交省航空局長への開発協としての要望書を、奥田課長に手渡した。