2018年(平成30年) 10月21日(日)付紙面より
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酒田市八幡総合支所は20日、鳥海山(標高2236メートル)の今季の初冠雪を観測したと発表した。昨年より16日、平年より9日それぞれ遅い観測となった。
酒田測候所が無人化された2009年10月以降、平場の同市観音寺にある八幡総合支所から職員が目視で観測し、発表している。この日は午前8時20分ごろ、雲間から山頂近くの外輪山周辺が、うっすらと白く冠雪しているのを観測した。
県山岳連盟事務局長でもある同支所建設産業課(観光担当)の池田久浩さんは「前日に雨が降り、上空に寒気が入り込むと初冠雪になりやすい。ここ数日は比較的暖かい日が続き、寒気もそれほど強くなく、まだ降らないかと思っていたので、意外だった」と話した。知人が遊佐町側から、山頂の新山も真っ白になっているのを確認したという。
気温が上がると山頂付近は雲に覆われるため、雪は午前8時半ごろには見えなくなったが、21日朝にはまた見えるかもしれないという。
2018年(平成30年) 10月21日(日)付紙面より
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焼酎「爽(さわやか)」の金龍(酒田市、佐々木雅晴社長)が遊佐町吉出に整備していた県内初のウイスキー製造施設「遊佐蒸溜所」が完成し19日、現地で竣工(しゅんこう)式が行われた。今月初めからスタッフの研修や試験蒸留を行っており、11月からは本格的な蒸留に入る。
敷地約4450平方メートルに昨年10月から蒸留棟1棟(鉄骨造り2階建て延べ床面積約920平方メートル)と熟成棟(同平屋建て床面積630平方メートル)2棟を建設。蒸留棟にはスコットランドのプラントメーカー「フォーサイス」に特注したポットスチル(単式蒸留釜)1式2基、糖化槽1基、発酵槽5基などを設置し、9月27日に酒田税務署からウイスキー製造免許を受けた。
原料となる麦芽(大麦を発芽させたもの)は当初、1カ月分の18・5トンをスコットランドから輸入し、蒸留棟内のサイロに保管。仕込みは1日1回で、1トンの麦芽を使う。ディストーナーで小石やごみを除去した後、ミルで粉砕。これをお湯(加熱した水道水)と共に糖化槽(マッシュタン、容量5キロリットル)に入れ、かき混ぜながら70度前後で加温すると、大麦のでんぷんが、麦芽に含まれる酵素の働きで糖分に変わっていく。
マッシュタンから3回に分けて搾った麦汁5キロリットルは、発酵槽(米松製、1基の容量6キロリットル)に移され、酵母を加え90時間発酵させると、アルコール分7―9%のもろみとなる。
もろみはポットスチルの初留窯(容量5キロリットル)に移され、ガスボイラーから底に送られる水蒸気で熱せられる。気化したアルコールがツルの首のようなネックを通る際、周囲の管に通した地下水(水温15・5度)で冷やされ凝縮。アルコール分22―25%の「ローワイン」になる。これを次の日、再留窯(容量3・4キロリットル)に通すと、アルコール分67%程度の「スピリット」(原酒)525リットルができる。
原酒はホワイトオーク製のバーボンだる(一部はシェリーだる)に詰め、熟成棟で土間に板を並べた「ダンネージ方式」で熟成させると、ウイスキーになる。早ければ3年後の2021年の秋、売り出し開始となる。「日本は欧州より寒暖差が大きいため、熟成が1・5倍ほど早く進み、5年の熟成で欧州産の8年物に匹敵する味になる」(佐々木社長)という。
蒸溜所は当面、新規雇用したスタッフ3人で動かしていく。今月3日からはフォーサイス社の技師5人を招き、16日まで研修を兼ねて試験蒸留を行った。今後、原料の麦芽は1カ月に17・5トンのペースで輸入。週に5回蒸留し、年間10カ月の操業で105キロリットル(1本700ミリリットル詰めで15万本)の生産を目指す。独特の焦げ臭い香り付けに使われるピート(泥炭)は当面使わず、主原料が大麦と水だけの「シングルモルト」を、3―5年物を標準に生産していく。価格は「未定だが、1本5000―1万円程度」(佐々木社長)。将来は原料の大麦を遊佐町で生産することも検討していくという。
この日、熟成棟で行われた竣工式には、県や遊佐町、酒田市、プラントメーカー、施工業者ら約60人が出席。神事で安全な操業と高品質な製品の製造を願った後、関係者が蒸留棟前でテープカットし、船出を祝った。
佐々木社長は「約2年にわたる準備を終え、やっと蒸留を始めることができ、安堵(あんど)している」とした上で「遊佐のきれいな水や空気などの環境と、細部に手を抜かない日本の高い技術で、世界に誇れる高品質なウイスキーを造っていく」と決意を語った。