2018年(平成30年) 12月30日(日)付紙面より
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鶴岡市は、バイオ関連産業の拠点化を目指し、同市覚岸寺周辺のサイエンスパーク(面積21・5ヘクタール)に設置しているレンタルラボの市先端研究産業支援センター(鶴岡メタボロームキャンパス)の貸室が満杯となっているのを受け、同施設から約3キロ北にある旧栄小学校の校舎を活用した同支援センターの別棟を来年4月に開設する。活用に向け旧校舎の改修工事を進めており、バイオ関連の研究開発のさらなる集積につなげる。
支援センターは、慶應義塾大先端生命科学研究所(冨田勝所長)のバイオラボ棟に隣接して、市が整備した。慶應先端研の世界最先端のメタボローム解析技術を核に、バイオ産業の集積を誘導する施設で、現在、6棟合わせて62室ある貸室はほぼ満杯状態となっている。
センターの敷地は4・3ヘクタール、建物は鉄骨造り一部2階建て延べ床面積約8200平方メートル。最初のA棟が2005年供用を開始し、翌06年にはB棟が開設された。慶應先端研発ベンチャー企業が次々と設立され、同センターに入居したこともあり、当初の貸室が短期間で満杯となり、市は11年に46室分を増設した新棟を整備した。
現在は慶應先端研をはじめ、先端研発ベンチャー6社のうちヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(HMT)、人工合成クモ糸開発のSpiber(スパイバー)、サリバテック、メタジェンの4社、理化学研究所、鶴岡高専、国立がん研究センター・鶴岡連携拠点がんメタボロミクス研究室など15社・団体が入居し、空き室がない状態が続いている。
こうした状態を解消し、新たな入居需要に応えるため市は、サイエンスパークから比較的近距離にある3階建ての旧栄小校舎の活用を決め、先月から改修工事に入った。栄小は今年4月に京田小と統合し、廃校となった。改修の事業費は約1億円で、国の地方創生拠点整備交付金で2分の1の補助を受ける。旧教室などの間取りを生かしながら不燃壁や非常用窓、トイレなどを改修し3月中旬に完成予定。
1―3階の広さ約60平方メートルから約150平方メートルまでの9室を月額1万1900円―4万8000円で貸し出すほか、シェアオフィス1室(10区画)を2階に設け、1区画を月額4100円でレンタルする。サイエンスパークの支援センターのような本格的な貸室でないため、簡易な実験などへの利用を想定。本年度中に事前の入居募集を行い、市の審査を経て、来年4月1日から入居となる。
市の担当者は「支援センターの貸室の空き状況を確認する問い合わせもあり、入居需要はある程度見込まれる。支援センターに既に入居している企業による補完的利用も考えられ、レンタルラボとして活用を図り、バイオ関連産業の集積を進めたい」と話している。