2019年(平成31年) 1月9日(水)付紙面より
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海洋生物の保全活動に取り組む酒田市のNPO法人「みなと研究会」(守屋元志代表理事)が酒田北港内に設置していたハタハタの産卵床について、一時的に引き上げて観測したところ、多くの卵塊(ブリコ)が付着していたことが分かった。同法人は来年度以降、一連の活動を広く全国に向けて発信、クラウドファンディングなどを活用して産卵床の設置拡大を図ることにしている。
ハタハタ増殖研究の一環として同法人は2005年から毎冬、海藻類の代わりに卵を産み付けるための産卵床を市内の園児・児童らと共同で製作。ハタハタ釣りの“聖地”となっている酒田北港内の通称・水路に沈め、ブリコの付着数などを調査し続けている。
今季の産卵床は高さ約1メートル、幅約8メートルの網2基で、県自動車販売店リサイクルセンター(山形市、遠藤榮次郎社長)から譲り受けた廃車のシートベルトを切り裂き、海藻を模した形状のものを産卵床間の「つなぎ」として活用。さらに地元の保育園児が書いた「たくさんたまごをうんでね」「げんきでね」といったメッセージを短冊状にし網目に結んだ。
産卵床の一時引き上げは守屋代表理事ら法人役員が参加して今月3日に行われた。ほぼ全ての網目にブリコが付着し、多くはふ化前だった。守屋代表理事は「付着したブリコは約4000個に上る見込み。ここ数年で最も多く、ふ化後に引き上げて実数を調べたい」と話し、「漂うシートベルトが海藻に見えたのだろう。水路でふ化したハタハタが回遊し多く戻ってきたようだ。増殖事業の成果は着実に上がっている」と語った。
一方、同法人は19(土)、20(日)の両日、守屋代表理事が経営する「かき小屋酒田港」(同市上安町一丁目)を会場に、恒例の「鰰(はたはた)まつり2019」を開催する。ハタハタの湯上げ試食会をメーンに、守屋代表理事らがハタハタをはじめとした海洋生物の生態、循環型社会などについて解説する。両日とも午前10時から午後3時ごろまで。問い合わせなどは守屋代表理事=電080(6018)2820=へ。