2019年(平成31年) 3月19日(火)付紙面より
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春を告げる神楽として知られる鶴岡市安丹地区の伝統芸能「安丹神楽」が17日、同地区公民館で開かれ、地元の青年たちが悪病退散などを祈願して軽快な笛と太鼓に合わせて滑稽な舞を披露し、訪れた住民たちの笑いを誘った。
安丹神楽は、江戸時代の安政6(1859)年に安丹地区でコレラが流行した際、疫病退散を祈願して神楽を舞ったところ、まん延を防ぐことができたという言い伝えを起源とする。現在は住民で安丹神楽会(佐藤惠一会長)を組織し、地区の青年たちが無病息災、五穀豊穣(ほうじょう)を祈って、毎年この日に上演している。
公民館には幼児から高齢者まで地区の住民、アマチュアカメラマンら約120人が集まった。お目当ては「長兵衛」と呼ばれるひょっとこが滑稽な舞を披露する「笑福」。神子舞や勇ましさを感じさせる獅子舞、剣の舞に続き、横笛と太鼓の軽快な音に合わせて長兵衛が登場した。客席に入り込み、おどけた姿で子どもたちにあめをプレゼントしたり、女性に近づいてキスをしたりと笑いを誘った。中にはひょっとこのお面姿の長兵衛に泣きだす子どもや親の背中に隠れる子どもも。その後、おかめも登場した愉快な舞に会場は笑い声に包まれた。神楽会の佐藤会長(70)は「地域の歴史に深く関わる伝統芸能を若者たちの力で伝承していきたい」と話していた。