2019年(令和1年) 5月23日(木)付紙面より
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10月にスタートする観光誘客事業「新潟県・庄内エリアデスティネーションキャンペーン(DC)」に向け、酒田の街を楽しい「うわさ」で埋め尽くす「酒田のうわさプロジェクト」が本格的に始まった。青森県八戸市在住のアーティスト、山本耕一郎さん(50)が各地の学生・生徒らと共に繰り広げているプロジェクトの一つ。酒田まつり当日の20日に初の活動が行われ、露店が並ぶ酒田市中心部の祭り会場に専用の屋台を出し、ユニークな「うわさ」が掲載された青色のバッジ「うわさバッジ」を道行く祭り客に無料配布した。
同プロジェクトは、普段の生活の中では知り得ない「うわさ」を、人と人、人と店、人と街をつなぐコミュニケーションツールとして活用し、街中ににぎわいを創出するもの。「モノが捨てられないタチらしい」「ちょい悪おやじらしい」「財布をなくしたらしい」「懸賞マニアらしい」「転勤してきたばかりらしい」など、山本さんが考案した500余もの「うわさ」が吹き出し調に書かれた「うわさバッジ」を着用し街中を歩いたり、店先に掲示することで、親近感が湧いて会話が弾んだり、店に入るきっかけになるという。これまで地元・八戸市のほか、遠くは鹿児島県内でも実施している。
山本さんと共に酒田でのプロジェクトを推進するのは、東北公益文科大の学生による観光ボランティア団体「酒田おもてなし隊」の隊員、酒田南高観光・地域創生専攻の生徒合わせて約40人。昨年暮れからこれまで勉強会を重ね今月上旬の大型連休中、一堂に集まって「うわさバッジ」とともに、PR用の看板やのぼり旗、これらを搭載するための「うわさ屋台」を制作した。
おもてなし隊副隊長の芦野秀樹さん(3年)によると、今回の活動は、DCに向けてまずはプロジェクトを知ってもらうことが目的という。にぎわいを見せる中町中和会の駐車場内に「うわさ屋台」を持ち込み、午前10時からバッジの配布を開始。隊員・生徒の呼び込みの声に大勢が立ち寄り、「私は『1日1万歩を日課にしているらしい』だ」と着用したまま歩きだす男性、「私はこれかな」と話し「貯金がどんどん減っているらしい」と書かれたバッジを受け取る女性らの姿も見られた。
同プロジェクトは今後、「○○の店長は釣りがかなり得意らしい」「○○のプリンは作り方に秘密があるらしい」といった、市内の店舗、店主に関する楽しい「うわさ」を広く募集、厳選した上でDCに合わせて店先に掲示するという。山本さんは「インバウンドに対応するため今後、英語の『うわさバッジ』も制作したい」と話した。
おもてなし隊、酒田南高は現在、うわさプロジェクトの運営に携わるボランティアスタッフも募集している。年齢や性別、出身地は問わない。問い合わせ、うわさ情報提供などは電子メールで酒田おもてなし隊=sakataomotenasi@gmail.com=へ。