2019年(令和1年) 6月11日(火)付紙面より
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日本海を回遊するスルメイカを追う中型イカ釣り船団の出航式が9日、酒田市の酒田港袖岡埠頭(ふとう)で行われ、大勢の市民らが乗組員たちの航海の安全と大漁への願いを込め、送り出した。
150トン前後の中型船で船団を組み、6月初旬から翌年2月ごろまで日本海中央部の大和堆を中心に島根県沖からオホーツク海までで操業し、「船凍(せんとう)イカ」にして水揚げする。本県関係の船は、北海道から石川県までの計13隻で「山形県船友漁撈長会」(山形船団)を結成し、全国トップクラスの水揚げを誇っている。漁労長の大半が酒田市飛島を中心にした庄内出身者。
出航式は2006年から毎年、市と県漁業協同組合が中心になって実施している。酒田港への水揚げ高の約8割がスルメイカという「イカのまち酒田」や本県水産業をアピールする狙い。今年は山形船団のうち10隻が、大漁旗で飾って酒田に集結。午前10時ごろから善寳寺(鶴岡市)の僧侶による祈祷(きとう)に続き、式典には乗組員や若松正俊副知事らの来賓、合わせて約150人が出席したほか、大勢の市民らが詰め掛けた。
主催者あいさつで、県漁協の本間昭志組合長が「海洋環境の変化で資源は著しく減少。大和堆では外国漁船の違法操業、北朝鮮のミサイル発射で不安も募ると思うが、われわれも皆さんの入港促進のため魚価の向上などに努める。海上安全と円滑な操業を」、丸山至酒田市長は「イカのまち酒田をPRするため、『酒田船凍いか』の商標を登録した。船凍イカを酒田の名物に育てるため、さらに水揚げを頑張って」と激励した。
山形船団の佐藤長悦郎船団長(69)=第38正徳丸漁労長、鶴岡市小波渡=は「安全第一を心掛け、大漁を届けたい。北前船の寄港地として栄え、『西の堺、東の酒田』とうたわれたこの港まち酒田が、われわれの入港で当時の活気を取り戻すことに貢献したい。全員の安全と大漁を約束する」と決意を述べた。
その後、JA庄内みどりの阿部茂昭組合長、同そでうらの五十嵐良弥組合長、みどりサービスの佐藤淳社長らが米やしょうゆなど記念品の目録、酒田舞娘(まいこ)の一千花さんと小結希さんの2人が花束をそれぞれ佐藤船団長に贈り、舞娘2人は「酒田甚句」などを舞い、花を添えた。船団は午前11時半ごろから1隻ずつ、「太鼓道場風の会」の勇ましい和太鼓演奏が響く中、五色のテープを手にした家族らから「頑張ってこいよ」などの声援を受け、出航した。