2019年(令和1年) 7月14日(日)付紙面より
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「やまがたの海ごみを考える」をテーマにした公開イベントが12日、酒田市の東北公益文科大公益ホールで開かれた。プラスチックごみが海洋環境に与える影響を追ったドキュメンタリー映画を観賞するとともに、地元で海岸漂着ごみ問題に関わっている東北公益文科大の学生やNPO関係者らが意見交換で、循環型経済へのシフトや意識改革の必要性などを訴えた。
県内有志による「海洋ごみバスターズin山形実行委員会」(加藤清輝実行委員長)が県の後援や日本財団などの助成の下、官民連携組織「美しいやまがたの海プラットフォーム」(代表・小谷卓鶴岡高専名誉教授)、東北公益文科大地域共創センターなどと共催。同大の学生や一般合わせて約350人が参加した。
上映された映画「海―消えたプラスチックの謎」(2016年、ヴァンサン・ペラジオ監督作品)は科学者たちが廃棄プラスチックの行方を探索する姿を描いたもの。海洋プラスチックごみの99%は行方不明で、そのごく一部は微生物が分解するが、大半は微細なマイクロプラスチックとなり、一部は魚介類を通じ人体にも取り込まれている可能性があるという話に、参加者は固唾(かたず)をのんで見入った。
続くトークセッションでは、公益大2年で国際ボランティア学生協会(IVUSA)メンバーとして庄内海岸で漂着ごみ回収に関わっている長沼栞さん、同大3年で地域課題解決に取り組む学生団体SCOPの荒木涼さん、酒田市を拠点にわが国の海岸漂着ごみ対策をけん引しているNPO法人パートナーシップオフィスの金子博理事、長年にわたり同市飛島の海岸清掃に関わっている公益大の呉尚浩教授、国際海洋法などに詳しい同大の樋口恵佳講師、県自動車販売店リサイクルセンターの菅原弘紀専務らが登壇し意見を述べた。
登壇者たちは「海岸清掃活動に参加して地元の現状を知り、地元の問題は自分たちで解決したいと思うようになった」(IVUSAメンバー)、「日本近海のプラスチックごみは世界平均の27倍で、海鳥の90%が摂取している。大量生産・大量消費の社会から循環型経済の社会に」(金子さん)、「本来の美しい生態系を取り戻す活動を通じ、人と人とのつながりも取り戻しつつある」(呉教授)、「環境は金にならないと言う人がいるが、これからは環境こそビジネスチャンス」(菅原さん)などの意見が出た。