2019年(令和1年) 8月28日(水)付紙面より
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出羽三山神社(宮野直生宮司)で受け継がれている山伏修行「秋の峰」が26日から羽黒山、月山、湯殿山で始まった。9月1日までの7日間、全国から入峰(にゅうぶ)した165人が三山の自然に身を委ね、修験者となるための荒行を積んでいる。
同神社の山伏修行は、出羽三山の開祖・蜂子皇子による羽黒派古修験道を受け継ぐとされる。秋の峰は年に4回の入峰修行「四季の峰」の中でも一般に公開された最大級のもの。初日の26日は正午すぎ、峰入りの行列が手向地区の下宿(明光院)を出発。宿坊街から随神門、秋の気配が漂う羽黒山中の石段を上り、神拝詞の大合唱とほら貝の音を響かせながら山頂に向かった。今年は40人ほどの初入峰者がおり、「列から遅れるな」と先輩山伏のげきが飛んでいた。
穏やかな表情で五重塔を拝していた千葉県君津市の高石進(山伏名・隼希)さん(78)は今年で入峰18年目。「大病もしたが、峰入りを続けているおかげで今がある。満願(20年)まで続けられるかは分からないが、感謝の気持ちで臨みたい」と話した。
修験者たちは羽黒山頂近くの吹越籠堂(ふきこしこもりどう)にこもりながら、月山山頂や東補陀落(ひがしふだらく)などを拝する「山駆け」、トウガラシなどをいぶした煙の中に身を置く「南蛮いぶし」など擬死再生の荒行に挑む。