2019年(令和1年) 11月29日(金)付紙面より
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高齢者や障害者らの「要配慮者利用施設」管理者を対象にした避難確保計画作成講習会(後期)が27、28の2日間、酒田市の酒田勤労者福祉センターで開かれ、ワークショップを通じ、避難する際の課題や対策を学んだ。
2016年8月、台風10号による豪雨で岩手県内の高齢者施設で9人が犠牲になったことを受け、国は17年6月に水防法を改正。洪水浸水想定区域内の要配慮者利用施設に対し、22年3月までに避難確保計画を作成し、同計画に基づく避難訓練を行うことを義務付けた。同市では今春、対象施設として、高齢者福祉施設や病院・診療所、小・中学校、保育所・幼稚園など197カ所を市地域防災計画で指定。7―10月には管理者を対象に、前期講習会を開き、計画作成の意義や作成時の注意点などを学んだ。
後期講習会は、各施設が避難確保計画を検討する中、出てきた課題などを持ち寄り、より充実した計画作成につなげる狙い。27、28日に各40人前後、合わせて約80人が参加した。
初日の27日は36人が参加。建設や防災に関するコンサルティングを行っている八千代エンジニアリング(東京都)の関係者が講話で、先月の台風19号で埼玉県川越市の特別養護老人ホームが入居者約100人を手際よく避難させた例などを紹介し、計画作成や避難訓練を行う意義をあらためて解説した。
続くワークショップでは参加者が6人前後のグループに分かれ、計画作成や避難時の課題、疑問、既に取り組んでいることなどを、付箋に書いてテーブル上の紙に張りながら説明。課題では「夜間は職員が少なく、適切に対応できるか不安」「ヘルメットなどの防災グッズが整っていない」「エレベーターが使えなくなったときの対応が未定」「周囲の自治会との連携ができるか」など、既に取り組んでいることでは「職員はメールで安否確認している」「訓練時は薬の持ち出しも行っている」「避難先に備蓄している」など、活発に情報交換していた。
市危機管理課の前田茂男課長は「こうした情報交換を通じ、各施設が主体的に、より良い避難確保計画を作ってもらうのが狙い。ここで解決しない課題については、今後も市が随時、相談に応じる」と話した。
同市では昨夏、最上川などの増水で避難勧告・指示を発令した経験を踏まえ、国のスケジュールより計画作成を急いでおり、年内をめどに全対象施設で作成を終える計画だ。
2019年(令和1年) 11月29日(金)付紙面より
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鶴岡市が同市上郷地区の大荒地内に新設する大荒一般廃棄物最終処分場の整備工事安全祈願祭が27日、現地で行われた。工事は2021年9月の完了を見込み、22年4月の供用開始を予定する。大泉地区にある現在の岡山最終処分場は20年9月に埋め立てが満杯となる見込みで、市は大荒最終処分場の供用開始まで処理を民間委託する方針で、委託料は3億円ほどと試算している。
一般廃棄物最終処分場は、焼却灰や不燃残さなどを埋め立てる施設。大荒の新最終処分場は国道7号由良坂の南側丘陵地を活用して整備し、国道7号から搬入する形となる。新施設は埋め立て面積1万6600平方メートル、埋め立て容量13万立方メートルで、埋め立て期間は15年を計画。廃棄物埋め立て後に覆土する岡山と同じ「サンドイッチ・セル方式」で、雨などの浸出水は二重の遮水シートで土壌に浸透しないようにし、処理水は下水道に放流する。下水道設備を含めた総事業費は約71億円。新施設の施工は佐藤工務・鶴岡建設・佐藤組特定建設工事共同企業体が担う。
新施設をめぐっては、地元との合意に時間を要したほか、下水道のルート変更もあり、当初21年4月だった供用開始予定が、1年遅れた。このため岡山最終処分場の満杯後は、埋め立て処分の廃棄物の処理を民間に委託する方向となり、大荒最終処分場の供用開始まで約3億円の委託料が発生する見通しとなっている。
安全祈願祭には、市や地権者、地元自治会、土地改良区、工事関係者ら約50人が出席。神事で皆川治市長が鍬(くわ)入れを行うなどして、工事の安全を願った。祈願祭後、皆川市長は「建設が進んでいる新ごみ焼却施設と合わせ、市民の衛生的な生活に不可欠な施設であり、住みやすい地域となるよう努める。両施設を利用する三川町ともしっかりと協議を進めていく」とあいさつした。