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荘内日報ニュース


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2019年(平成31年) 4月26日(金)付紙面より

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庄内能楽館法人設立40周年 酒田で特別公演

 公益財団法人「庄内能楽館」(酒田市浜松町、池田宏理事長)の法人設立40周年を記念した特別公演(荘内日報社など協賛)が24日、昼に庄内能楽館、夜には希望ホールでそれぞれ行われ、狂言師の野村万作さん(人間国宝)・萬斎さん親子、宝生流20代宗家の宝生和英さんらが出演。いずれの舞台も大勢の能楽ファンが訪れ、記念公演にふさわしい華麗な舞を堪能した。

 同館は1977年、池田理事長の母で能に造詣が深かった故池田康子さんが設置、79年に財団法人化(当時)した。能舞台と展示場、楽焼窯場、庭園で構成しており、このうち能舞台はひのき造りでくぎを使用していない。舞台の下にはかめが入っており、踏み鳴らしたときに音が響くようになっている。桟敷席も含め約150人を収容する。

 竣工(しゅんこう)以来、能楽師・団体を招いての公演、仕舞やはやし、謡の愛好家の活動を支えるなどしてきたが、康子さんの病気などで十数年は活動をほぼ休止。2012年3月20日付で公益財団法人に移行したことを受けて池田理事長が再開を決め以来、夏休み期間中には「親子仕舞教室」を毎年開催しているほか、広く一般を対象にした能楽教室を随時展開。展示場では、能衣装や能人形、絵画作品など康子さんのコレクションを飾っている。

 昼の部は、同館運営協力者らを招待しての公演で約150人が参加。池田理事長のあいさつに引き続き親子教室の講師を務める宝生流能楽師の辰巳大二郎さんらによる「橋弁慶」で幕開け。萬斎さんが狂言小舞「名取川」を披露したほか、和英さんが祝言能「高砂」を舞った。

 幕あいには、いずれも加藤明子さん(酒田市、チアーズ社長)の司会で、万作さんと能楽研究の第一人者で庄内能楽館初代館長を務めた増田正造さん、和英さんと萬斎さんがそれぞれ鼎談(ていだん)した。

 万作さんは「若者の日本語の発音がルーズになっており、能・狂言の未来を楽観していない。鑑賞しても分からないのでは。狂言の練習などを通し、発音をしっかりと学び、さらに興味を持ってもらえれば未来は明るくなるはず。庄内能楽館がその役目を果たしてほしい」、増田さんは「地域に根差した芸能が多くある、ここ庄内の文化程度は高い。次の世代に引き継ぐための拠点施設になってほしい」とそれぞれ述べた。

 庄内能楽館について萬斎さんは「ライブハウスのよう」と述べた上で「大きくはないが、われわれの緊張感や集中力といった能楽の命を共有できることはとても重要なこと」と。和英さんもまた、「再開以降は毎年、この能舞台で舞っており非常に親しみやすい。第二の故郷のよう」と話した。

人間国宝の万作さん(右)と増田さんが鼎談
人間国宝の万作さん(右)と増田さんが鼎談

狂言小舞「名取川」を披露する萬斎さん
狂言小舞「名取川」を披露する萬斎さん


2019年(平成31年) 4月26日(金)付紙面より

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おらほのまちを有名に

 酒田青年会議所(JC、若村光司理事長)の4月公開例会が24日夜、酒田市の酒田産業会館で開かれた。「おらほのまちを有名さそ(有名にしよう)」をテーマに、地元でインバウンド(訪日外国人旅行)のプロモーションを手掛けるベンチャー企業の事例発表などを通じ、会員や一般が北庄内のインバウンドの可能性や課題を考えた。

 同JC酒田・遊佐魅力発信委員会(ピエール・ガンバリーニ委員長)の主管事業。庄内地方は観光資源に恵まれているが、特に北庄内は海外にほとんど発信されていない。その現状への理解を深め、市民参加で対策を考える狙い。市内外の一般を含め約80人が参加。

 初めに同委員会がインバウンドの動向について報告。「2018年の訪日外国人は3119万人だが、本県はうち0・3%だけ。ただ、東京や大阪などに比べ、滞在日数や消費額は多い。訪日が2回目以降の人をターゲットに北庄内に呼び、ファンになるよう、みんなで協力を」と呼び掛けた。

 引き続き、酒田市を拠点に庄内の魅力を英語で世界に発信している合同会社「The Hidden Japan」の山科沙織代表と山下デレック・クリエイティブディレクターの2人が取り組みを語った。

 米国・ロサンゼルス出身で鶴岡市でALT(外国語指導助手)を経験した山下さんは「大学卒業時、ALTの赴任先が鶴岡と分かり、ネットで検索したが、ほとんど情報はなく、『何もないところに行く』と落ち込んだ。しかし、実際に来てみると、身近に豊かな自然があり、食べ物はおいしく、庄内が大好きになった」とした。山科さんは「3年前からローカルメディアを手掛ける中で、首都圏からのアクセスが多く、庄内への関心は高いと感じていた。デレックと出会い、庄内の魅力を世界に発信したいとウェブメディアを立ち上げた。ネーティブのライターが文章を書き、デザインや写真の質にもこだわって発信を続け、庄内の認知度は高まりつつある」とした。

 また、山下さんは「庄内では沢水を飲み、山で採った山菜を食べる。ロスでそんなことをしたら病気になる。庄内の普通は、世界では特別なこと。その魅力をもっと発信したい」、山科さんは「県外には、首都圏から5時間かかる場所で里山の自然や暮らしを体験するツアーで外国人に人気のところがあるが、庄内ではもっと良いツアーを組める」と庄内の可能性を強調し、発信と受け入れ態勢を強化していく必要性を訴えた。その後、参加者が5人前後のグループで、北庄内の魅力を発信してインバウンドを推進するための課題や対策を語り合った。
           

山科さんと山下さん(奥)の講演で庄内の魅力や発信の課題などを聞いた
山科さんと山下さん(奥)の講演で庄内の魅力や発信の課題などを聞いた



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