2020年(令和2年) 2月26日(水)付紙面より
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鶴岡市大山二丁目の渡會本店(渡會俊仁社長)で18日、三川町の幻の米イ号を酒米とした酒「イ号彌太右衛門」の留め仕込みが行われた。
米麹と水に蒸米(むしまい)を冷却したもの(掛米(かけまい))を混ぜ込み、もろみを均一に発酵させるために先端がT字状の櫂棒(かいぼう)で底からすくい上げるように櫂入れする。非常に難しい作業で、全体のもろみの温度を均一にしないと酵母菌が活動しやすい環境にはならないという。
日本醸造協会7号酵母を使用し100年前の状況の再現に努めた。「酵母は泡のある昔ながらの古い酵母で、もろみの健康状態が把握しやすい」と語るのは渡會社長。
発売デビューした昨年との違いは殺菌方法。今年は打栓した四合瓶に、パストライザーという機械を使い、直接加熱と冷却を施し殺菌することで生詰めのフレッシュ感を残す。今回の仕込みでは四合瓶で2000本ぐらいできる予定で、予約販売はせず店頭で4月頃の販売を予定しているという。
渡會社長は「昨年の本県沖地震の際に全国から支援していただいた。留め仕込みは最初から(昨年6月18日の地震から8カ月目の)今日と決めていた。そして搾りは(東日本大震災の)3月11日にする」と話した。