2020年(令和2年) 4月4日(土)付紙面より
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鶴岡市立藤沢周平記念館の開館10周年特別企画展「『橋ものがたり』の世界」が3日始まった。江戸の橋を舞台にした市井物10編で、昭和51―52(1976―77)年に集中的に市井小説を書き、自らのスタイルを確立できたと言われている。今回の展示の目玉は大型“ストーリーマップ”。記念館のホールに3・5メートル四方で大きな地図を置き、来館者が踏みしめながら作品の舞台を実感できる。
企画展の一番乗りは茨城県常総市から訪れた篠崎憲二さん、ミツ子さん夫妻。憲二さんは元社会科教師で藤沢作品を全て読んでいるファン。企画展示を興味深く見る一方で、常設展示で驚きの発見が。小説「白き瓶(かめ)」の主人公で歌人・長塚節(たかし)を調べるため、節の故郷(旧石下町(いしげまち)、現常総市)を訪れた際、憲二さんの母の実家だった旅館に滞在したことを、周平の残した取材メモを通じて知った。「びっくりしました。充実した記念館で思い出深い旅行になりました」と話した。
実は前日、井上ひさし記念館の「遅筆堂文庫」(川西町)を訪ねたが、置賜地方は米沢市でコロナウイルス感染者が出たため、急きょ閉館。こちらも閉館していないかと心配しながら来鶴したという。
特別展示は9月29日まで約半年間行われる。オリジナルグッズとしては「一筆箋(せん)」が新たに登場。挿画は藤沢作品でおなじみのイラストレーター蓬田やすひろさんが特別に描き下ろしたもので「蝉しぐれ」「橋ものがたり」の2種類が用意され、各550円。また企画展をより理解してもらうための展示解説会が18日午前10時半・午後2時の2回行われる。
同記念館は午前9時?午後4時半、水曜日休館。入館料大人320円、高校生・大学生200円、中学生以下無料。問い合わせは同記念館=電0235(29)1880=へ。