2020年(令和2年) 4月3日(金)付紙面より
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鶴岡市在住で文化人類学研究者の山口吉彦さん(78)が、アマゾンの原住民らと交流しながら収集した資料の展覧会が3日から、同市の致道博物館で開かれる。2014年3月に市のアマゾン自然館・民族館が閉館後、アマゾン資料単独の同市での展示公開は6年ぶりとなる。山口さんは「致道博物館の協力で久しぶりに鶴岡で展示でき、共に活動し、亡くなってしまった妻の考子(なすこ)もきっと喜んでくれるはず」と話している。
展覧会は「Sonhos de Amazonia(ソーニョス・ジ・アマゾニア=アマゾンの夢)―ともに生きる森」のタイトル。1970年代から長期間にわたって山口さんが現地で収集した約200点を展示する予定。女性の成人儀礼に使われた仮面や装束、装飾品、原住民が日常的に使っていた物、動物の剥製、昆虫の標本など現在は入手できない貴重な資料を展示紹介する。
展示は5月13日(水)まで。期間中は、楽器を体験するワークショップ(5月2日、小学生以上、要予約)、山口さんと長男の考彦(なすひこ)さん(43)の親子が展示品を紹介するギャラリーツアー(5月3―6日)、手仕事の継承などに取り組む同市の成瀬正憲さんと山口さん親子のクロストーク(5月9日、要予約)のイベントも企画されている。
展覧会は、致道博物館とともに、昨年9月に設立された一般社団法人アマゾン資料館が主催する。同法人は同市陽光町にある山口さん方の建物を収蔵施設として改修し、現在は同市の出羽庄内国際村に保管されている約2万点の海外の民族資料の移転作業を進めている。法人の代表理事の考彦さんは「父が収集した資料では、今では現地で失われた物も多い。今回の展示を通じて自然との共存について理解を深めてもらうとともに、民族資料の芸術性にも注目してほしい」と話す。
アマゾン自然館・民族館が閉館後、山口さんのコレクションは東京、大阪、名古屋などの博物館などで展示されてきた。地元鶴岡での展示に山口さんは「これまでに、また鶴岡で展示してほしいという声をたくさん頂いた。見学したことのない鶴岡の子どもたちをはじめ、多くの方々から見てもらえれば」と話した。