2020年(令和2年) 9月29日(火)付紙面より
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鶴岡市鼠ケ関で26日夜、新型コロナウイルス感染症の退散と海の安全を願う花火の打ち上げが行われた。夜空に咲いた大輪の華が海面に映り、集まった観客は大きな歓声や拍手を送りながら「秋の夜の花火」を楽しんでいた。
鼠ケ関では約50年にわたり夏に花火を打ち上げていたが、2000年を最後に中止していた。また、神輿(みこし)流しや大漁旗フェスティバル、紅エビ祭りなど通年でさまざまな祭りやイベントを開催しているが、今年は新型コロナウイルスの影響で軒並み中止になり、海水浴場の開設も見送られた。少しでも地元の子どもたちや住民が元気になるようにとの思いも込め、あつみ観光協会鼠ケ関支部や地元自治会で組織した実行委員会が主体となって企画し、先月から準備を進めてきたもの。
同日、午後7時の定刻に近づくにつれ、打ち上げ場所付近には近隣住民が集まり出した。初めに佐藤丈典実行委員長が「この花火でみなさんの心に希望を届けるとともに、コロナの収束を願いたい」とあいさつ。打ち上げまでのカウントダウンを行ったあと、音楽に合わせ約7分、約440発の花火が港の防波堤から打ち上げられた。花火は同市の赤川花火大会にも参加している長野県の伊那火工堀内煙火店が打ち上げ、難しいとされている多色の花火「四重芯」も夜空に輝いた。
鼠ケ関で生まれ育ったという40代の女性は「鼠ケ関では昔、8月に花火の打ち上げがあった。浜辺にゴザを敷いて見たり、大勢の人で活気あふれていた時代があったことを思い出してしまい、うるっときた。赤川花火と違って自分の育った海で見る花火は特別。子どもたちも感動していました」と話していた。