2020年(令和2年) 12月29日(火)付紙面より
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文化・人種・性別の違い、障がいの有無にかかわらず共に生活しやすい社会「共生社会」の実現に向けた講座「『心のバリアフリー』を学ぼう」が26日、オンライン会議ツールを活用して行われ、東京大学大学院教育学研究科バリアフリー教育開発研究センター特任研究員の中村奈津枝さん(ダイバーシティ&インクルージョン研究など)の講話に、参加者が耳を傾けた。
障がいの有無にかかわらず互いに個性を尊重しながら、共に自分らしく暮らせる街づくりを目指している酒田市が主催した講座。同市は今年4月、「障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例」を制定。誰もが暮らしやすい街になるよう「心のバリアフリー」を推進している。
一方、同市は来年に延期された東京五輪・パラリンピックにおけるニュージーランドトライアスロンチームのホストタウンとして登録され、さらに心のバリアフリーに向けた取り組みを実践し、大会終了後もその実現を目指す自治体「共生社会ホストタウン」にもなっている。活動の一環として同10月から、特に車いすユーザーが走行可能の道路といった情報をシェアできるよう、市民を挙げて「バリアフリーマップ」の制作を進めている。
この日は午前にセミナー、午後からはワークショップの形式で行われた。このうちセミナーはモニター越しに市民ら約30人が参加。中村さんは冒頭、共生社会について▽これまで必ずしも十分に社会参加できなかった障がい者が積極的に参加・貢献できる社会▽誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を認め合える全員参加型の社会―と定義。心のバリアフリーを考える上で▽障がいの社会モデル▽差別はしない▽コミュニケーション力を養い、想像し共感する―の3つがポイントになると指摘し、このうち「社会モデル」に関し「社会的障壁で障がい者を排除してきた『社会の在り方』『環境』が問題。障壁を取り除くのは社会の責務」と述べた。
サポートの在り方については「不便であることで困っている人がいたら、できることをするのは当たり前と思うこと。自分にとって無駄だと思っても、それを必要とする人がいると思えること。今までのやり方にかかわらず、できることをすること」と呼び掛けた。
市交流観光課によると、バリアフリーマップは来月中に完成する予定という。