2021年(令和3年) 1月29日(金)付紙面より
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今月24日に投開票が行われた県知事選で現職の吉村美栄子氏が公約の一つとして掲げた東北公益文科大学(酒田市)の公立化に向け、県と酒田市などが進めていた検討組織の設立に関し、県が同市に停止の意向を伝えていたことが、28日までに分かった。県から市に「ストップ」の意向が伝えられたのは投開票翌日の25日午前。丸山至市長、新田嘉一公益大理事長が対立候補を支援した経緯もあり、関係者は不安視している。
関係者によると、今回の知事選で吉村氏が公約の一つとして「公益大の早期公立化、機能充実・強化」を掲げたことを受け、県と市は検討組織の設立準備を進めることで合意。選挙期間中の今月14日には県から市に職員配置や設置場所など意見を求める電話があったという。しかし、投開票日翌日の25日午前、県幹部から市の担当部に「検討組織立ち上げについてストップするよう、上から指示があったのでお伝えする」という電話があったという。
高等教育機関を担当する県学事文書課は市とのやりとりがあったことを認め、「公立化に向けた庄内2市3町の役割分担、財政負担など引き続き実務者間で検討を進めていきたい」と話し、「早期公立化を目指す姿勢に変わりはない」と強調した。
公益大は2001年、県と庄内14市町村(当時)が設置費用を負担し、学校法人東北公益文科大学が運営する「公設民営型」で開学。当時は全国で公設民営型の大学が数多くできたが、その後、他県では少子化の中で経営を安定化させるため、多くが公立化されている。