2021年(令和3年) 2月10日(水)付紙面より
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日本遺産の日(13日)に合わせた鶴岡市の「日本遺産ウイークin鶴岡」が8日、市役所1階ロビーでのPR展示で始まった。16日(火)までの期間中、同市が有する「出羽三山生まれかわりの旅」「サムライゆかりのシルク」「北前船寄港地・船主集落」の3つの日本遺産の構成文化財の関連施設が開放されるほか、パネル展示などを通して、“3つの日本遺産のまち・鶴岡”を発信する。
文化庁などが定めた日本遺産の日は、昨年から設けられた。「に(2)ほんい(1)さん(3)」の語呂合わせで制定。鶴岡市は昨年から、3つの日本遺産にまつわるストーリーを紹介し市民や観光客に親しんでもらおうと、関連団体や構成文化財となっている施設の関係者と連携し、「ウイーク」を設定している。今年は松ケ岡開墾150年、出羽三山丑歳(うしどし)御縁年に当たり、ウイークを通じてアピールする。
市役所では16日まで、各日本遺産の紹介パネルや、サムライゆかりのシルク関連で鶴岡中央高シルクガールズプロジェクトによるシルクドレス3着を展示。昨年11月に開催されたシルクガールズコレクションの映像も紹介している。
13日(土)には出羽三山生まれかわりの旅の情報コーナーがあるいでは文化記念館を無料開放する。併せて学芸員による企画展「疫病退散―いにしえの祈りと願い」の説明(午前10時、午後2時半の2回、各回先着25人)も行う。
松ケ岡開墾場一番蚕室の松ケ岡開墾記念館は13、14日(日)に無料開放。11(木)―14日は開墾場への雪灯籠の設置、蚕室ライトアップもある。
北前船寄港地関連では、北前船で財を成した商人たちの寄進によって江戸時代末期に建立された善寳寺の五百羅漢堂が13日に無料拝観される。事前予約が必要で、同寺で電話0235(33)3303などで受け付けている。通常拝観は有料。加茂水族館のレストラン「魚匠ダイニング沖海月」では13日から、北前船が運ぶ京文化を膳にしたハモ中心の創作料理「庄内藩北前料理」の提供を始める。
2021年(令和3年) 2月10日(水)付紙面より
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東北公益文科大学(酒田市)の阿部公一教授(社会保障論、公的年金論、年金教育など)らが執筆した日本年金学会創立40周年記念書籍「人生100年時代の年金制度―歴史的考察と改革への視座」(法律文化社刊)がこのほど、発刊された。中で阿部教授は、学生と共に研究・実践している「年金教育」の方法論について考察している。
若者を対象にした年金教育研究を数多く発表している阿部教授は、日本教育公務員弘済会による奨励金助成を受け2019年、国民年金への理解を深めるための教材「高校生のための年金ディベート道場」を作成。優れた功績を挙げた教員を表彰する公益大「ベストアワード」を18年度に受賞した。また、若者の国民年金加入促進に向けて歴代ゼミ学生が制作した動画は、厚生労働省主催「令和の年金広報コンテスト」で最高賞の厚労大臣賞を2年連続で受賞。自らも本年度前半のリモート授業で活用するため作製した啓発ポスターを同コンテストに応募、企業年金連合会理事長賞を受けた。
「公的年金制度」「私的年金制度」の2部構成で年金の過去・現在・未来を論じた同書は、同学会を代表し13人が執筆した。このうち阿部教授は1部7章「公的年金制度への共感を高める年金教育の在り方―若年層と社会を結ぶ役割を果たすために」を担当。「公共政策としての公的年金制度の必要性」を強調し、年金教育を施す「重点ターゲット」を若年層と定義し、▽制度を支えているという自負の育成▽人生100年時代を見据え、公的年金が主要な収入源となることを気付かせる「自分事化」の充実▽生涯におけるリスク管理の観点から「もしや」「まさか」の備えになることを理解させる必要性―などこれまでの研究成果を発表している。
阿部教授は「年金に関する大学での研究は政策が主で、教育に関するものはあまりなく、研究者も少なかった。今後ネットワークを構築して認知度を高めていけたら」と話し、同書について「年金業務に携わる人が対象の専門書だが、年金教育を実践する上でも活用してほしい」と語った。A5判、258ページ。3900円(税別)。専門書を扱う書店で販売している。