2022年(令和4年) 12月1日(木)付紙面より
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鶴岡市熊出にある日帰り温泉施設「かたくり温泉ぼんぼ」が30日、営業終了日を迎えた。2017年度に地元・朝日地域の住民による管理運営組合(渡部巖理事長)が市から運営業務を引き継いだが、コロナ禍による利用者数減少などを要因に同組合が本年度中の営業終了を市に伝え、今年9月に市が公表した。この日は午前中から地元の高齢者を中心に“ぼんぼファン”が次々と施設へ足を運び、営業終了を惜しんだ。
ぼんぼによると11月27日現在、利用者数の前年度比を月別で見ると10、11月はいずれも前年度より100?200人の増加があったものの、4?9月はいずれも減少。特に8月は前年度比で約650人減ったという。
長引くコロナ禍による利用者数の減少に加え、燃料費や電気料金の大幅値上げなど維持経費が膨らんだことから、運営組合は今年9月21日付の文書で市に営業終了を伝えた。
この日の午前は朝日地域の高齢者を中心に利用者が施設を訪れ、「今日で終わりと聞いた」「残念だのー」と職員へ声を掛ける姿が見られた。中には「長くお世話になったから」と、畑で採れたばかりのキュウリを箱いっぱいに詰めて職員にプレゼントする人も。
施設の長南達夫支配人は「最後の営業なので、足を運んでくれた皆さんにゆっくりと温泉を楽しんでもらいたい。職員もしっかりおもてなししたい」と話していた。また、近くに住む70代女性は「この場所をよりどころにしているお年寄りは大変だと思う。地域によってはバスに乗り合い1週間に4回も足を運んでいる。友達と集まっておしゃべりし、温泉を楽しむ施設がなくなるのは悔しい。毎日じゃなくても1日置きで営業を続けられないだろうか」と営業終了を惜しんだ。
市朝日庁舎によると、地元住民が新たな団体を設立し施設運営を模索する動きがあるものの、コロナ禍などの影響を見ながらある程度の検討期間を要するという。
2022年(令和4年) 12月1日(木)付紙面より
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東北公益文科大学(酒田市、神田直弥学長)の阿部公一教授(社会保障論、公的年金論、年金教育)が担当する専門演習(ゼミ)を履修する3年生8人が、楽しみながら国民年金について理解を深めることができる「国民年金すごろく」を作成した。主として若年層の国民年金加入啓発に向けた取り組みの一環で、手掛けた学生たちは今後、高校生らを対象にすごろくを活用したワークショップ・授業などを開催する方針。
阿部教授の歴代ゼミ生たちは「国民年金加入行動啓発プロジェクト」と銘打ち、若年層、特に大学生の国民年金未加入・保険料未納問題を共通の社会問題と捉え、これまで学生の視点で加入・納付を呼び掛ける動画を多く発表、いずれも動画共有サイト「YouTube」で閲覧できるようにしている。
工藤歩夢ゼミ長(20)、堀光副ゼミ長(21)はじめ本年度のゼミ生たちは、学びの中で企業などに属している第2号被保険者は保険料が給料から天引きされるものの、保険料を自ら納付しなければいけない個人事業主ら第1号被保険者は滞納してしまうことが多く結果、給付率が低いことが社会問題化していることを知った。納付率向上に向けて今春以降、分かりやすく国民年金について理解を深めることができるすごろくの開発に取り掛かった。
このほど完成したすごろくは、「ユーチューバーを目指す18歳」を各プレーヤーがサイコロの出た目に従って進め、▽月6万4816円給付の65歳▽65歳と比べて約5万5000円多く給付を受ける75歳▽老後貧困―と3つある、いずれかのゴールを目指すもの。必ず通ることになる障害基礎年金や遺族基礎年金、老齢基礎年金、免除・猶予のマスにはQRコードを記載し、スマートフォンやタブレット端末で読み取ると、学生たちが新たに制作した解説動画につながる。
工藤ゼミ長、堀副ゼミ長は「3つの基礎年金を解説する動画の制作が大変だった」と話した上で、「楽しみながら、人生におけるさまざまなリスクに備えた国民年金の重要性と必要性を感じてもらえたら」とアピール。
指導した阿部教授は「人生のルートは人それぞれで、そこをどう工夫するか考えた結果、今回はユーチューバーという『個人事業主』に絞った。どう活用していくかが今後の課題。さまざまな場面で使えるよう考えを広げていきたい」と話した。
すごろくは今後、公益大ホームページから自由にダウンロードできるようにするという。