2022年(令和4年) 3月13日(日)付紙面より
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県は11日、県議会2月定例会に上程していた2022年度当初予算案を撤回した。県議会事務局によると、予算案の撤回は記録が残る1960年以降では初。撤回の理由となったのは、県が寒河江市に整備を予定している県産果樹の情報発信施設で、同整備事業に対し県議会から「事業について県側からの説明が一切されていない」「情報発信に箱もの(施設)が必要なのか」と反発が相次いだ。県は同施設整備に関する予算案を取り下げた上で15日に県議会へ当初予算案を再提出する方針。
11日開かれた県議会の農林水産常任委員会で遠藤寛明委員長が「22年度一般会計予算を撤回したい旨の申し出が県側からあった」と発言し、同日の予算案に係る採決を行わないことを示した。その後、吉村美栄子知事が坂本貴美雄議長に予算案の撤回を申し入れた。
問題となった情報発信施設は、県が寒河江市の最上川ふるさと総合公園内に2024年度内の完成を目指している。総事業費は約25億円で、22年度当初予算案では設計費など1億800万円を計上していた。
しかし、整備事業をめぐって県議会は「21年度中にこの事業に関する県側の説明も議論も一切ない」と反発。これを受け、県は予算案の撤回を決定した。高橋雅史農林水産部長は「本年度、事業について常任委員会へ報告や説明がなかったのは事実。いったん現在の施設整備を含めた予算を取り下げ、議会の指摘を真摯(しんし)に受け止めてきちんと対応策を提案したい」と述べた。
また、最大会派の自民党のある議員は「そもそも情報発信のために25億円もかけて施設を造る必要があるのか。施設は10年も経てば相当な維持費、修繕費がかかる」と事業の意義について疑問を投げ掛けた。