2022年(令和4年) 12月10日(土)付紙面より
ツイート
庄内地方は9日、ハタハタを大黒様にお供えする「大黒様のお歳夜(としや)」を迎えた。ところが庄内浜産のハタハタは不漁が続いており、販売価格も数年前とは比べ物にならない値段になっている。鶴岡市内の鮮魚店では同日、ハタハタを焼くいつもの光景が見られたが、店では「地物が全く入ってこず、県外産で何とか注文に対応している。仕入れ値も上がっており、もうけはない」と大変な状況だ。
鶴岡市内の量販店によると、底引き網解禁の9月以降、庄内浜南部ではハタハタの水揚げ量がかなり厳しい状況で、北部は漁獲が多少出ているものの例年より少ないという。さらにしけで出港できない状況が追い打ちをかけている。9日のお歳夜に合わせ秋田や青森産のハタハタを仕入れており、1尾(約120グラム)当たりの単価は500?600円弱と昨年より若干安く販売している。担当者は「例年ならこの時期まで地物は300?400ケースと水揚げされているが、今年は150と半分程度。秋田も例年の半数と同じような状況と聞いている」と話した。
一方、江戸時代末期から続く鶴岡市本町一丁目の老舗「三浦佐五兵衛鮮魚店」は同日、午前7時に火入れを開始。7代目店主の理さん(52)と母の弘子さん(82)が交代しながら、仕入れたばかりのハタハタを炭火でじっくり焼いた。
理さんは「地物が全然入ってこないため秋田や青森から仕入れた。今週に入って酒田方面で水揚げがあったと聞いたが、値段が高騰しているためか鶴岡まで入ってこないようだ」と困惑した表情を見せた。
同店は生と焼きでの販売用に、合わせて80匹を仕入れ午前中に60匹を焼くという。理さんは「昨年より仕入れ量が減ったのに、価格は3割ほど高くなってしまった。1尾(約160グラム)当たり500円だが、それでももうけはない。いつも買ってもらっているお客さんにも『家族3人で6尾』を『3人で3尾』にしてもらっている。数年前に比べたら考えられない状況」と話していた。