2022年(令和4年) 12月29日(木)付紙面より
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クラフトビール醸造・販売を通して「酒の酒田」を広く全国に向けてPRしようと、酒田市内の企業3社が今年春に立ち上げた「酒田クラフトビールプロジェクト」。試作品として都内の醸造所で製造したクラフトビール「SAKATAトラディショナルビール『サカトラ』」が完成し27日夕、市産業会館でお披露目会が開かれた。味わいよく芳香漂う出来栄えに関係者らは「おいしい」と太鼓判。この試作品を基に今後は酒田での醸造を進め、来年6―7月の初出荷を目指す。
プロジェクトを立ち上げたのは、同市の京田西工業団地に酒田工場がある金属管製造など「パイプ・ラインエンジニアリング」(東京都、池田和男社長)、市内で飲食店「Ravi」「あぶり家ろわ蔵」を展開する合同会社イデアル(安藤力人代表)、美容室「waft hair&make」(新橋四丁目、勝田貴美さん経営)の3社。自らの店でクラフトビールを扱いたいと考えていた安藤代表と、常連客でビール好きの勝田さんが長く温めていた企画で、同じく常連の池田社長に相談したところ、自社での醸造設備製造事業参入も視野に入れ快諾、用地と建屋、設備を提供することにした。
今年4月の立ち上げ以降、イデアルスタッフでビール醸造を担当する堀明日美さんが研修を兼ねながら、都内の醸造所で試験製造に取り組んできた。試作品は苦み付け、香り付けなど4種のホップを用い、副原料として地元産米「つや姫」、濁りを取るために海藻も使用。華やかな香りとコクが特長で飲み応えがある一方、飲み終わりはさっぱり。見た目にも琥珀色が美しく仕上がっている。産業会館1階で開かれたお披露目会には関係者ら約40人が参加。丸山至市長の音頭で乾杯した後、樽から注がれた試作品を味わった。
安藤代表は「クラフトビールの入り口になるものを目標に取り組み、この試作品が『サカトラ』の味わいの基準となる。今後は地元産果実などを加え、酒田らしいビールを造りたい」と。味わった丸山市長は「市販のビールでは味わうことのできない、他にない味。ホップが効いている」と話した。
年明けにもパイプ・ラインエンジニアリング酒田第三工場敷地内で、約120平方メートルの醸造所を着工。中に1000リットルの醸造タンクを複数設置する。初年度は酒造免許取得に必要な6000リットルを醸造する予定。プロジェクト立ち上げ時、将来的には出来たてビールを提供するパブレストランを併設した醸造所「ブリューパブ」を中心市街地で展開する考えも示している。