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2023年(令和5年) 2月4日(土)付紙面より

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山居倉庫で市の活性化後押しへ

 昨年秋で米保管庫としての役目を終えた酒田市の国指定史跡・山居倉庫の保存活用について、「市民活動に供する貸出スペースを設ける」「保存状態を調査し、修復や耐震性を高める必要がある」など、多方面の計画案が示された。

 市の委託を受けた学識経験者、観光関係者、樹木の専門家による「保存活用計画策定委員会」が示したもので、3月中に最終的な保存活用計画を取りまとめ、5月中に文化庁に認定申請する方針だ。山居倉庫は米倉庫としての現役時代から庄内を代表する観光施設でもあり、市は来年度中の公有化を予定。有効活用しながら次世代に残していくための方策を考える。

     ◇       ◇

 これまで4回の会合を開いた保存活用計画策定委員会は、市民を交えて現地を視察しながら活用計画を検討してきた。1893(明治26)年の建設から130年。傷んでいるところがあれば修復が必要であり、そのためには詳細な調査をしなければならないようだ。市民が参加した現地の見学会では、倉庫のシンボルであるケヤキ並木の樹勢を維持していく重要性を指摘する意見もあったという。

 山居倉庫は12棟が現存している。2棟は市観光物産館「酒田夢の倶楽」、1棟は倉庫を所有しているJA全農山形などが「庄内米歴史資料館」として活用している。市は既に2棟を取得しており、ほかの全棟も取得する方針で、保存活用方法の検討は大掛かりで多岐に及ぶようだ。倉庫自体の保存活用だけでなく、新井田川一帯の景観も、倉庫と一体化させて整備することが課題になっている。

 新型コロナ禍の影響もあるが、鶴岡市には小中学校の修学旅行(教育旅行)で訪れる学校が増えている。致道博物館、加茂水族館、出羽三山神社などを回って風土や歴史を学ぶコースが設定されている。酒田市にも日本海交易に関連する歴史的施設が数多い。「港町文化・米・北前船」を学ぶことができる施設として▽舞娘(まいこ)茶屋相馬樓▽本間美術館▽豪商・本間家旧本邸▽同・旧鐙屋などが、市中心街にある。それも歩いて回る事ができる範囲に。

     ◇       ◇

 山居倉庫は近現代の米穀流通の歴史を知る貴重な文化財。学校教育、地域学習、生涯学習の場として活用すると同時に、観光資源として地域社会・地域経済の活性化に生かさなければならない。にぎわい創出のため、貸出スペース、起業支援のための体験型チャレンジショップなど、地元の人が利用できる事業も、策定委は考えているようだ。

 酒田は「北前船寄港地・船主集落」として日本遺産に、鳥海山と飛島は日本ジオパークに認定され、庄内北部の歴史と自然を併せ持つ魅力がある。山居倉庫での一地点完結型ではなく、山居倉庫を起点とした市内回遊性による活性化につながる保存活用策が練られることを期待したい。

画像(JPEG)



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