2024年(令和6年) 4月21日(日)付紙面より
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鶴岡市のユネスコ食文化創造都市認定10周年を記念した特別展「和食~日本の自然、人々の知恵」が20日、同市の鶴岡アートフォーラムで開幕した。科学や歴史など多角的視点で「和食」を捉え、食材の標本や資料、映像で魅力を伝える内容。6月16日までの会期中、鶴岡の食や食文化に触れられる関連イベントも多彩に繰り広げられる。
和食が2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されて10年となったのを機に、昨年10月―今年2月に東京・国立科学博物館で開催された特別展の全国巡回展の皮切りで、市や鶴岡アートフォーラムなどが主催した。
特別展は「『和食』とは」「和食の成り立ち」「和食のこれから」などのテーマを設けた6章で構成。食材に関する展示では、食の基本となる「水」、自然の恵みのキノコや山菜、野菜、海藻、魚介類など日本の豊かな食材を標本やレプリカで紹介。食材をおいしく食べるために生み出された酒、しょうゆ、みその発酵技術や、昆布、カツオ節、干しシイタケなど自然を生かした出汁(だし)の知恵とともに科学的視点で解説している。
文献を基に織田信長が徳川家康をもてなした料理や平安時代の貴族の宴席料理の再現模型、和食の発展とともに進化した包丁など多様な道具類なども展示。食文化の視点での考察として北前船が運んだ昆布やニシンの食材の広がりを示したパネル、東日本の角餅・西日本の丸餅の雑煮文化圏の紹介では東日本で庄内地方のみ飛び地的に丸餅文化圏にくくられた全国マップの展示もある。特別展の応援キャラクター「リラックマ」の限定ぬいぐるみなど関連グッズも販売。観覧料は一般700円、高校・大学生420円、中学生以下無料。
20日は関係者約60人が出席して開幕セレモニーが行われ、主催者を代表し皆川治市長が「ユネスコ食文化創造都市10周年の節目を迎え、取り組みをさらに発展させ、ガストロノミーツーリズムを推進したい」とあいさつした。
期間中の関連イベントでは、街歩きで鶴岡の食を楽しんでもらおうと、観覧チケットの半券を提示すると加盟41店舗でサービスが受けられる「鶴岡ぐるめぐり」を実施。このほか鶴岡伝統菓子の雛(ひな)菓子や笹巻、とち餅作りの体験、和食器や箸作り体験、鶴岡食のアンバサダーの料理人によるごま豆腐の餡(あん)や孟宗汁の調理デモンストレーション、手打ちそばと季節の天ぷらの振る舞いなどがあり、市のホームページで案内している。問い合わせは市食文化創造都市推進課=電0235(35)1185=へ。