2024年(令和6年) 4月25日(木)付紙面より
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酒田市中心部の空き店舗を活用してシェアオフィスとシェアハウス、飲食店の展開を想定する店舗・キッチンを合わせ持つ「複合シェア施設」を整備する「ブランニュースペースなかまち」プロジェクトがスタートした。建築材料卸売など手掛ける仮設機材工業(同市こがね町一丁目、西村修社長)が中心となって取り組むプロジェクトで、西村社長は「空き店舗をリノベーション(修復)して貸す事業の第1弾。市中心部の活性化につなげたい」と話している。
同社は、昨年4月に竣工(しゅんこう)した同市千石町一丁目の移住者向け住宅・地域交流拠点形成事業・TOCHiTO(トチト)プロジェクトの事業グループ代表を務めている。移住希望者への情報発信などを行う業務委託契約を市と結ぶ生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(生活クラブ生協、東京都、村上彰一会長理事)などの協力もあり、トチト内の住宅16室、貸しオフィス9室とも満杯。本町三丁目で独自に開設した移住者向けのサテライト居住棟も満室の状態という。
移住者らの新たな受け皿として同社が目を付けたのは、空き店舗となっていた旧五郎兵衛食堂(中町一丁目)。市役所に近く、酒田産業会館前という絶好の立地。西村社長によると、鉄骨造のため躯体(くたい)がしっかりしており、配線・配管も問題なし。シェアオフィスは3タイプ4室で、床面積は10―70平方メートル。24時間利用可能で法人登記もできるという。シェアハウスは11―15平方メートルの5室をいずれも個室として整備する。トイレ、ダイニングキッチン、リビング、システムバスなどは共有。シェアオフィス、シェアハウスとも専有部にはエアコンと個別電気メーターを設置する方針。
1階部の店舗は約55平方メートル、キッチンは29平方メートルで、共同テラスを含め飲食店として一体化した賃貸を想定している。「共同テラスは屋外カフェ、ビアガーデンとしての使用も可」(西村社長)で、今年秋のオープンに向け現在、水回りを全面リニューアルするなど内部のリノベーション中。5月下旬から外部の補修に入る予定という。このような形態の複合施設は市内では初の試みで、シェアハウスに関するノウハウを持つ首都圏からトチトに移り住んだ女性や、生活クラブ生協が全面協力している。
トチト交流棟で20日に開催した説明会の席上、興味を持つ市民ら約20人を前に西村社長は「建物がしっかりしているので長く持つ。理想は徒歩で暮らせるコンパクトシティ。街中にはまだ多くの空き店舗があり、酒田DMOはじめ各関係機関と連携し、賃貸だけでなく民宿などとしての活用も検討したい」と話した。「複合シェア施設」に関する問い合わせはプロジェクト事務局=電0234(26)2381=へ。