2006年(平成18年) 11月19日(日)付紙面より
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県教育委員会の「全国少人数教育研究会in山形」酒田大会が17日、酒田市の泉小、酒田一中などで開かれた。県内外の教育関係者が、子供にじっくり考えさせるなど少人数のメリットを生かした授業の見学や意見交換などを通じて、少人数教育への理解を深めた。
本県では2002年度から段階的に1学級の人数を21―33人とする教育山形「さんさん」プランを導入し、04年度からは小学校全学年、05年度からは中学1年まで拡大して実施している。研究会はそうした取り組みを踏まえ03年度から県内各ブロックごとに開いている。
4回目の今年は酒田市教育委員会が共催し、遠くは九州など県内外の小中学校、教育委員会の関係者ら約260人が参加。県の少人数教育の研究校になっている泉小、酒田一中両校での公開授業と分科会、市総合文化センターでの全体会を行った。
このうち泉小(山崎久校長、児童475人)の2年2組(冨樫由紀子教諭、児童24人)の道徳の公開授業では、学校を舞台に友情の芽生えを描いた絵本「あのときすきになったよ」を使って授業を実施。たっぷりと時間をかけて登場人物の心情を考えさせたり、子供同士の発表をしっかり聞き取らせるなど、少人数のメリットを生かした授業を展開した。
その後の分科会ではこの授業に対し、「きめ細かく、温かいものを感じた」「少人数教育にはあまり関心がなかったが、今日の授業でその意味の大きさを感じた。子供たちが先生を信頼し、言いたいことを言える関係になっている」など、高い評価が相次いだ。
一方、「人数が減っただけでは何も変わらない。教師が『少なくなったから、これまでできなかったことができる』という意識をもって、動くことが大切」と、教師たちの意識改革と授業改善に向けた実践の大切さを強調する意見も出ていた。
同校では少人数教育のメリットとして、▽一人一人の活躍の場が増える▽指導者と児童のかかわりが増える▽学習空間をダイナミックに活用できる―の3点を意識して授業を改善し、「しっかり教える」「分かりやすく教える」「じっくり考えさせる」という「当たり前のことを当たり前にしていく授業」を心掛けているという。
泉小の公開授業。机をコの字に並べ、児童が対面したり、中央が舞台になったり、空間利用も工夫