2007年(平成19年) 5月23日(水)付紙面より
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酒田市内の県立酒田商業、酒田工業、酒田北、市立酒田中央の公立4高校の統合再編問題で、市教育委員会は22日、4校を一括して新高校とし、開校時期を当初計画より2年繰り延べて2013年度とするよう県教育委員会に提案する。これまで県と市は、▽県立3校を統合し商業、工業、情報の3科による総合選択制の新高校を2011年度に酒田中央高の隣接地に開校▽同時に酒田中央高を普通科として県立に移管―との大枠の方針で合意し、具体的な統合の在り方を検討してきたが、「新高校の敷地確保など、具体的な検討の中で課題が出てきた」(五十嵐龍一・市教委教育部長)との理由から、今回の提案となった。4校の一括統合は当初、県教委側から提案され、市側が反発して「2校案」で検討してきただけに、振り出しに戻った感は否めない。
市教委の五十嵐教育部長によると、今回の提案を行う理由は、「2校案」では、▽新高校に必要な十分な敷地が確保できそうにない▽酒田中央高の普通科の位置づけが不明確―の2点が主なもの。
新高校は酒田中央高の北側に隣接して整備する方針で、市側では同校の約3・4ヘクタールを含め計6ヘクタール程度の敷地を想定していたのに対し、これまでの県との事務レベルの協議では「県の財政的な理由もあり、新高校の敷地はかなり縮小せざるを得ず、グラウンドの確保や校舎の配置などでも問題が出てきそう」(五十嵐部長)という。
また、酒田中央は県への移管5年後をめどに新高校への再統合を検討する方針だが、その場合の普通科の扱いが不明確で、場合によっては普通科がなくなる可能性もあるという。そうなれば、地区内の普通科は酒田東、酒田西の2校のみとなる。
そのほか、酒田中央高北側の松林については市民の一部から保全に懸念の声があること、酒田中央高前の県道の渋滞緩和対策などの懸念材料があるという。
そうしたことから、開設時期をずらし、しっかり検討すべきとの結論に至ったという。
五十嵐部長は「これまでの協議では十分な敷地を確保できず、すでに統合した高校や単独で改築した高校と比べても、施設規模や機能面で十分とは言えない状況。『新高校は今後の高校再編のモデルになる学校』という県との共通認識からも逸脱する」とする。
4校の一括統合は2005年3月に県教委側から提案されたもので、しかも2年遅れとなる形。これについて、五十嵐部長は「05年3月時点では唐突で、市民は到底理解できなかった。その後、市でも工夫をして2校案で検討してきたが、具体化を探る中で課題が出てきたということ。悔いを残さない統合のためで、過程が間違っていたとは思わない。県や市民の理解は得られるはず」としている。
22日は午後に市教委の石川翼久教育長、五十嵐教育部長らが県庁に出向き、県教委の山口常夫教育長あてに文書で提案を行う予定。