2007年(平成19年) 5月30日(水)付紙面より
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自宅の庭で生まれたアゲハチョウを羽化させようと鶴岡市大東町の橋本慶治さん(72)、妻のせつさん(66)が幼虫の保護に取り組んでいる。
橋本さん夫妻が幼虫の保護を始めたのは5年ほど前。以前から自宅庭のサンショの木や、ミカン、レモンなど柑橘(かんきつ)系の木にアゲハチョウが卵を産んでいた。しかし、生まれた幼虫が一日で数を減らしていることに慶治さんが気付いた。
「庭にはサツキやショウブ、モモ、ボタン、リンゴ、フジなど数多くの草花の鉢がある。鳥や15センチほどのカマキリが姿を見せることもあり、幼虫も天敵にやられたのでは」(慶治さん)と考え、幼虫を守るため屋内で育てることにしたという。
水を入れた小瓶に餌となるミカンなどの枝葉を挿(さ)し、幼虫とともに虫かごへ入れる。冷暖房が直接当たらないよう虫かごは廊下に出し、常温で育てた。橋本さん夫妻は毎年、春の終わりに卵からかえり初夏ごろに羽化するもの、秋口に生まれサナギのまま越冬して翌春に羽化するものを自然に帰してきた。昨年だけで23匹の羽化を見たという。
今年は今月上旬からこれまで、6匹のキアゲハやクロアゲハが次々と羽化した。いずれも昨年9月ごろに保護した幼虫で、越冬させた。せつさんは「古里が分かるのか、毎年同じ木に卵を産んでいく。見覚えのあるチョウが飛んでくるとうれしくなる」と笑顔を見せる。
橋本さん夫妻は「アゲハの幼虫は毛が生えてなく、ころっとして鮮やかな緑色。ガと間違えて駆除せず、見つけたら羽化するまで見守ってあげてほしい。羽化の瞬間は本当にきれい」と話し、「あまり多く見つかるわけではないが、希望する子供には幼虫を分けて、育てるこつを教えてあげたい」と語った。希望者は橋本さん=電0235(22)4843=へ。
虫かごにはサナギの抜け殻が残っていた
2007年(平成19年) 5月30日(水)付紙面より
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やまがた観光キャンペーン推進協議会(武田吉則会長)と県観光物産協会(同)の合同総会が28日、山形市内で開かれ、県観光物産事業功労者として6個人、2団体が表彰された。庄内からは、平田牧場会長の新田嘉一さん(74)=酒田市=が表彰を受けた。
新田さんは、江戸期に創業し酒田を代表する料亭の一つだった「相馬屋」が閉店した後、酒田繁栄の象徴を消滅させてはならないとして同店を取得し、2000年3月に「相馬樓」としてオープン。芸妓、舞娘の料亭文化など酒田の奥深い文化と歴史を広く情報発信し、観光振興に大きく貢献している。
表彰式では、各受賞者に武田会長から表彰状が手渡され、受賞者を代表して新田さんは「庄内の貴重な財産を消滅させてはならない、次の世代に残さねばならないと買い取った。外国からも多くの観光客が訪れており、良い文化遺産は国を超えて愛してもらえると思っている。文化遺産を守ることが、結果として観光振興につながり、報われた。これを機会に、さらに地域振興に尽力したい」と謝辞を述べた。
やまがた観光キャンペーン推進協議会の総会では、本年度事業計画として、首都圏で県内の歴史や温泉、食文化などをテーマにした研修講座を開設するほか、郷土料理を生かした観光誘客「食の案内人」制度などに新たに取り組み、昨年度に引き続き庄内地方と新潟県下越地方との連携による「夢日本海美人紀行」を10―11月に実施することを決めた。
観光物産事業功労者表彰を受けた新田さん(右)