2009年(平成21年) 11月8日(日)付紙面より
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県庄内総合支庁水産課は6日、庄内沿岸の大型クラゲ(エチゼンクラゲ)来遊による漁業被害発生状況を発表した。本年度の来遊は例年に比べ1カ月ほど早まり、9月と10月の2カ月間の被害件数は推定約2000件に上り、過去最多だった2006年度を上回るペースとなっている。
エチゼンクラゲは東シナ海などから対馬海流に乗って日本海に北上する大型クラゲ。近年、大量発生が見られ、各地で▽毒による漁獲物の品質・鮮度の低下▽漁具の破損▽操業の中止・中断―などの被害が多発している。同課は05年度から漁業者などの聞き取り調査を基に、推定の被害状況を取りまとめている。
庄内沿岸での本年度の被害は9月上旬に確認された。推定被害状況によると、9月は底引き網539件、定置網8件の計547件、10月は底引き網1105件、定置網209件、刺し網166件の計1480件で、2カ月間で2027件に上っている。過去最多の06年度は9月が50件、10月が1429件だった。
同課によると、漁業被害は現在、対馬付近での報告は少なくなってきているものの、若狭湾付近では依然として多発している。担当者は「例年は季節風が強まり沖から沿岸に寄ってくる11月、12月が庄内沿岸の被害のピークとなる。大量の入網で船の転覆を防ぐため網を全て切らねばならなかったり、操業回数が極端に減少するなどの被害が出る。ひどい状況が続いている若狭湾の発生を見れば、庄内沿岸でもさらに警戒が必要だ」と話している。
エチゼンクラゲによる庄内沿岸の漁業被害が過去最多ペースで推移している=10月15日、鶴岡市堅苔沢沖の定置網