2010年(平成22年) 7月18日(日)付紙面より
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酒田市の酒田港と飛島を結ぶ新定期船「とびしま」が17日に就航、観光客ら定員いっぱいの230人を乗せて午前9時半、勝浦港に向けて出港した。所要時間は1時間20分で先代の「ニューとびしま」より10分短縮。座席間を広げたことなどもあって利便性、快適性がより高まった。
「とびしま」は7代目の定期船。市が2008年度、広島県尾道市の造船会社に約7億2000万円で発注した。アルミニウム製の双胴船で253トン。全長39・41メートル、幅10メートル、航海速力19ノット。大きさは「ニューとびしま」とほほ同じだが定員を70人少ない230人とし、客席間のスペースを広げるなど快適な船旅に配慮するとともにバリアフリー化し、車いすの利用者や足の不自由な人でも利用しやすくした。
この日は、就航を祝うかのように青空が広がり、波も穏やかな天候に恵まれた。これまで通り出港20分前に乗船開始。観光客らが次々と乗り込んだ。定刻の午前9時半、もやいのロープが解かれ、ドラが打ち鳴らされる中、「とびしま」は岸壁を離れた。「ニューとびしま」のそばを通過しながらスピードアップ。乗船客の家族らが、手を振って見送った。
飛島の勝浦緑地公園で午前11時すぎから行われる歓迎式典で、「飛島音頭」を披露するために乗船した東北公益文科大4年の佐藤莉菜さん(21)=鶴岡市=は「新しい船をきっかけに飛島が話題になり、多くの観光客が来てくれるようになってほしい。一度訪れれば必ず好きになると思う」と“新船効果”に期待する。
一番乗りしたのは、祖母が飛島で営んでいる旅館の手伝いのため、母親と妹の3人で行くという松原小5年の丹後結衣さん(11)。「前の船と違って中が明るく広くなって、とても歩きやすい」と笑顔で話した。
「とびしま」は18日から8月30日まで1日2往復する。このうち8月13―15日は3往復に増便。酒田市定期航路事業所によると、今のところ今月18日の行きの第1便と、翌19日の帰りの第2便は、予約で満席になっている。同事業所では「このまま順調に推移してほしい」としている。