2010年(平成22年) 9月23日(木)付紙面より
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豊穣(ほうじょう)の秋、自然豊かな出羽の里山から旬の味を贈ります―。鶴岡市内の中山間地域の飲食店が、キノコ類や秋野菜を中心に旬の味覚をふんだんに使ったメニュー「さと山秋の御膳」を23日から約2カ月間限定で提供する。21日には鶴岡市越中山のそば処大梵字で発表会が行われ、関係者らが旬の食材を使った料理に舌鼓を打った。
さと山秋の御膳は、地域に伝わる郷土料理、伝統食の活用による観光振興、地域活性化を狙いに出羽商工会朝日支所が2005年から毎年、企画している。今年から朝日、櫛引、羽黒、藤島の4地域の合同企画として行われ、計11店が参加する。
御膳のメニューは朝日地域が月山ワインか山ぶどうジュースと山ぶどうシャーベット、櫛引地域が月山ワイン(甲州)か果実ジュースと櫛引産の果物、羽黒地域がブルーベリージュースと羽黒産の果物、藤島地域が果実ジュースと果物をそれぞれ統一メニューとし、旬のキノコや野菜を盛り込むほかは、どんな料理を作るかは各店の裁量に任せてある。
この日の発表会には参加店の代表者など関係者20人が出席。地元の郷土料理の伝承に取り組む渡部千代さん(鶴岡市大網)がプロデュースしたミョウガとナスの田楽やそばともち米の粉で作った五平餅(もち)、マイタケやアケビなどの天ぷら、十割そばなど17種の料理が出された。出席者らは山の恵みがぎっしり詰まった郷土料理に「どの料理もおいしい」とはしを進めていた。
さと山秋の御膳は、前日までの予約が必要で2人以上から。価格は1人2500円(税込み)。期間は11月14日まで。問い合わせは同商工会朝日支所=電0235(53)3580=へ。
2010年(平成22年) 9月23日(木)付紙面より
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先端バイオ技術を生かした新しい産業の集積を目指し鶴岡市が設置している「鶴岡市先端研究産業支援センター」の拡張部分の施設が、10月に着工される。拡張施設は来年7月の利用開始を予定し、国内大手の製薬メーカーや研究機関などすでに5つの企業・機関から入居希望が寄せられている。一方で、同センターの既設部分には国の科学技術振興機構(JST)による増設工事も始まり、隣接する慶應義塾大先端生命科学研究所バイオラボ棟と合わせ、世界的な研究開発拠点を形成し、企業集積の誘導につなげる。
支援センターは、研究機関などが入居する「レンタルラボ施設」として06年6月、県立鶴岡中央高そばにある先端研バイオラボ棟の北側隣接地に開設された。2階建て、延べ床面積3700平方メートルあるが、先端研、慶大発ベンチャー企業のヒューマン・メタボローム・テクノロジーズとスパイバーの2社、独立行政法人理化学研究所などが入居し、満杯状態が続いている。
この既存施設については昨年度、JSTの地域産学官共同研究拠点事業の採択が決まり、JSTが11億円を投じ2階建て(延べ床面積約890平方メートル)の施設増築と分析機器の整備を行う。増設部分は来年4月の供用を目指し、今月中旬に着工した。
市は、このJSТの事業採択を受け、企業や研究機関のさらなる集積と産業化の促進を狙い、満杯となっている既存施設の拡張整備を一体的に進めることにした。拡張用地は既存施設北側隣接地の約1・3ヘクタールで、鉄骨造り2階建て、延べ床面積約3600平方メートルの新施設を建設。拡張施設とJSTの増設施設は2階部分の上空通路で結ばれる。
拡張施設の1階には、世界最先端のメタボローム技術の高度化や地元企業の技術者、若手研究者の育成指導を行う「ワールドメタボロームファクトリールーム」を設置するほか、地元企業と大手企業との技術交流連携や国際会議などに活用する200人収容規模の大会議室を備える。慶大研究推進センター(東京)の出先事務所も入居し、首都圏などの研究開発型起業の立地誘導に向けたコーディネート活動を展開する。2階はレンタルラボとして貸し研究室を設け、既存施設と同様に有料賃貸する。研究室には、製薬メーカー2社、試験検査機器メーカー1社、医療分野の研究機関1機関が入居を希望している。
拡張整備の総事業費は用地取得費3億9000万円を含め15億9300万円。支援センターの拡張について、市政策推進課は「世界的な競争の中で優位性を持った研究開発拠点が形成できる。JSTの施設に整備される試験・分析機器を活用して先端研などと共同研究開発や事業化を進めたい企業が、支援センターのレンタルラボに入居し、その後に鶴岡での事業化につなげるといった形で、地元への企業集積を誘導していきたい」と話している。