2012年(平成24年) 2月28日(火)付紙面より
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酒田に古くから伝わるつるし飾り「傘福(かさふく)」を集めた展示会が、酒田市日吉町一丁目の元料亭で国登録有形文化財の「山王くらぶ」で開かれている。メーン会場の大広間は、鮮やかな色彩の布細工が数多くつり下げられた傘福が並び、まるで夢の世界。訪れた県内外の観光客からは、豪華でかわいらしい傘福の数々に感嘆の声が上がっている。
傘福は、江戸時代に酒田に伝わったとされる。着物の端切れなどを使い、猿やエビなどの動物、さまざまな花や桃、大根、カブなどの植物、巾着や宝袋、小づちなどの縁起物を作製。それらを一本のひもに結び付け、周囲を赤や緑の幕で覆った傘の骨につり下げる。子供の健やかな成長や女性が健康で一生送れるようにとの願いを込めたもので、ひなまつりの際に神社などに奉納したという。
展示会は、酒田商工会議所女性会(佐藤和子会長)が2005年、設立25周年記念事業の一つとして企画。伝統工芸品を復活し次代に引き継ぐとともに、「庄内ひな街道」に一層の彩りを加えようと始めた。
7回目の今年は、高い天井から床まで届く長いひもに計999個の布細工を結び付けた超豪華な「野立て傘福」2本をはじめ、紅花染めの布を使った淡いピンク色の上品な傘福など約80本を展示している。
昨年は、東日本大震災の発生で展示期間が短くなった。そこで、同市大宮の白鳥神社に奉納された絵馬に描かれていた傘福を復元・初展示した傘福山車と宝物傘福を再展示したほか、訪れた人に震災復興祈願の折り鶴を作ってもらい、それをつるした傘福を、完成済みの千羽鶴傘福と共に「福幸傘福」として展示期間終了後、仙台市に送り「仙台七夕」で飾ってもらう。
また、新生酒田一中生が旧酒田五中の伝統を引き継いで手作りし、昨年の酒田まつりの「山車みこしコンクール」で特別賞に輝いた傘福山車「Firstレジェンド」の傘福部分も展示している。
展示は4月3日まで。期間中は無休で、午前9時から午後4時半まで入館できる。入館料は大人500円、高校生・大学生160円、中学生以下80円。問い合わせは山王くらぶ=電0234(22)0146=へ。