2012年(平成24年) 11月16日(金)付紙面より
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庄内地方の在来品種・伝九郎柿をメーンにした柿ずくめの料理を味わう「柿のおへぎ膳を楽しむ会」が14日、鶴岡市の湯田川コミュニティセンターで開かれた。
湯田川地区の長福寺では江戸時代、年中行事として柿の収穫時期に合わせて行われた「柿講会」の直会(なおらい)で柿料理が振る舞われていたと、市郷土資料館にある庄内藩代官・安倍親任の「筆濃餘理(ふでのあまり)」に記載されている。
この歴史背景を受け、柿料理を次世代に伝承するとともに、観光業や地域特産物の振興を目的に、湯田川温泉旅館協同組合の女将(おかみ)会と青年部などが昨年から柿料理の再生に取り組んでいる。
今回の柿料理を楽しむ会は、湯田川温泉の開湯1300年の事業の一環で企画。鶴岡中央高校の3年生13人も参加し、湯田川温泉紙芝居の製作や柿の創作料理の考案に取り組んだ。
料理内容は、女将会が1820年ごろに長福寺の住職が記載した行事帳にあった「柿の白和(あ)え」や「柿なます」、湯ざわしで脱渋した伝九郎柿など6品、鶴岡中央高生は柿とチーズの揚げ物や豚しゃぶの柿ドレッシング添え、柿クリームを塗ったラスクの3品の合わせて9品の柿料理を紹介した。
この日は湯田川温泉の関係者や榎本政規鶴岡市長、鶴岡中央高生ら約50人が参加。はじめに女将会の大塚せつ子会長が「柿料理を庄内の食文化として定着していければと思う。今日は柿についてのうんちくを語り合いながら料理を楽しんでほしい」とあいさつした。生徒の紙芝居発表に続いて、柿料理を会食。参加者たちは女将会と生徒たちが趣向を凝らした柿料理に舌鼓を打ち、「とてもおいしかった。湯田川温泉の秋の季節の名物になると思う」「とても珍しい料理なので、都会の観光客に受けるのでは」「女将会と高校生が作った料理は全ておいしかった」などと料理の感想を話していた。
柿料理は、湯田川温泉の旅館6軒で、夕食膳の時に庄内の伝統料理を提供する「おかみ乃おへぎ」として、今月いっぱい提供している。