2013年(平成25年) 1月4日(金)付紙面より
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鶴岡市羽黒町手向の羽黒山頂で31日から元日にかけて「松例祭」が行われた。風雪の少ない穏やかな天候の中、地区の若衆たちがツツガムシをかたどった大松明(たいまつ)を引き、新年の五穀豊穣(ほうじょう)と天下太平を願った。
出羽三山の開祖・蜂子皇子が出羽の地の病魔を退治したという故事による、歳神を迎える祭り。手向地区の中から祭りの主役となる「位上(いじょう)」と「先途(せんど)」と呼ばれる2人の「松聖(まつひじり)」が選ばれ、9月24日から100日間の行に励み、大みそかに満願の日を迎えた。
31日は午後3時すぎから大松明に用いる綱の一部を切り分けて参拝客にまく「綱まき」を皮切りに、祭りがスタート。手向地区の8町の若者頭がたき火を囲んで大松明引きの綱の付け場を決める「綱さばき」や大松明を引く距離33尋(約60メートル)を確認する「験縄(けんなわ)」、大松明を立てる場所に穴を掘る「砂はき」行事などが行われた。行事は、位上と先途方の競争によって行われ、位上が勝てば豊作、先途が勝てば大漁になるという。
31日午後11時すぎに行われた大松明引きは、同時進行で合祭殿で行われていた「験競(けんくらべ)」で「五番法螺(ほら)」が吹かれると一斉にスタート。位上と先途方の若衆たちは「行けー」などと叫びながら火がついた大松明を引き競った。それぞれの大松明が杭(くい)に立て掛けられると大きな炎が上がり、詰め掛けた大勢の参拝客たちはその様子にじっと見入っていた。
年明け後は、東日本33カ国を羽黒領と定める「国分け神事」や新しく切り出された火による「火の打ち替え神事」などが行われた。