2013年(平成25年) 5月26日(日)付紙面より
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「みちのくの奇祭」として知られる鶴岡市の天神祭が25日、本祭りを迎えた。同市神明町の鶴岡天満宮には午前中から大勢の市民が長じゅばん姿に編み笠(がさ)と手拭いで顔を隠した「化けもの」に扮(ふん)し、参拝に訪れた。
庄内三大祭りの一つの天神祭は、学問の神様・菅原道真公を祭る鶴岡天満宮の例祭。道真公が京から九州の大宰府に配流される時、道真公を慕う人々が姿を変え、顔を隠してひそかに酒を酌み交わし別れを惜しんだという故事に由来する。
裾をたくし上げた長じゅばんに角帯を締め、編み笠と手拭いで顔を隠した市民たちが、道行く人に無言で酒を振る舞う独特の習わしから「化けもの祭り」とも呼ばれてきた。化けもの姿で3年間、誰からも知られずにお参りすると、願いがかなうとの言い伝えもある。
25日は午前10時ごろから鶴岡天満宮で祭典が行われ、午後からのパレードで菅原道真公役を務める齋藤圭一さん(55)=同市三和町、櫛引東小校長=をはじめ、氏子や祭り実行委員会の関係者が参列。祭りの滞りない催行などを祈願した。
この日は青空が広がる絶好の“お祭り日和”となった。鶴岡天満宮には、午前中から化けもの姿をした家族連れなどが大勢参拝に繰り出し、拝殿で学業成就や家内安全などを祈願。振る舞い用の酒やジュースをもらい、市街地に繰り出した。一方、この日は土曜日とあって鶴岡公園周辺の県道上などに設営された「露店街」は、例年以上に大勢の祭り客でにぎわっていた。
6年ぶりに家族と一緒に化けもの姿で祭りに参加した遠藤克敏さん(45)=同市道形町、会社員=は「長男が来年から社会人になり、家族全員で化けものの姿になるのは今回で最後になるため、記念に参加した」と話していた。
午後のパレードには約2700人が参加。JR鶴岡駅前と市中央児童館をそれぞれ午後2時に出発し、鶴岡公園まで大絵馬パレードや小学校の学区単位の踊りフェスティバル、仮装などのエンジョイパレードが市街地を練り歩いた。