2014年(平成26年) 1月10日(金)付紙面より
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庄内地方の冬から春にかけての味覚「アサツキ」の収穫が、酒田市南部の砂丘畑で最盛期を迎えている。雪と土をかき分けると、ほんのりと黄緑に色づいたアサツキが顔を見せ、掘り出すと食欲をそそる特有の香りが辺りに漂う。
アサツキはユリ科の多年草。シャキシャキした歯応えと独特の風味が好まれ、砂丘メロンなどの後作として栽培されている。地元では「キモト」とも呼び、酢みそあえやおひたし、天ぷらなどにして古くから食されてきた。
同市十里塚地区を中心に栽培。管轄する市袖浦農協の「あさつき部会」(高橋忠夫部会長)には65人ほどが加盟している。昨季は約53トンを出荷し約6600万円を売り上げたが、収穫が厳冬期に当たることなどから近年は減少傾向にある。
久しぶりに晴れ間がのぞいた7日、同市十里塚の農家、高橋龍一さん(76)は妻の志津子さん(67)と一緒に、自宅近くの畑で収穫作業。うっすらと積もった雪を取り除き土をならして手で掘り出すと、根元が真っ白で先が黄緑や緑色を帯びたアサツキが顔を出した。
高橋さんによると、昨夏の猛暑が影響して成長が遅れ気味という。ただ、ここ数年と違って雪が少なく穏やかな日もあるため「収穫は楽。この天気が続けばいいが」と話している。アサツキは家に持ち帰って水洗いし、ビニールハウスで1週間ほど「芽出し」した後、主に首都圏に出荷される。収穫は4月上旬ごろまで続く。