2014年(平成26年) 3月7日(金)付紙面より
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この冬に醸造した新酒を酒造メーカーの技術者らが品評し合う「持ち寄り利き酒会」が5日、遊佐町吹浦の鳥海温泉「遊楽里」で開かれ、例年4月から5月にかけて開催される全国新酒鑑評会(酒類総合研究所と日本酒造組合連合会の共催)に出品予定の酒から、より良い酒を選んだ。
酒田酒造協議会(佐藤正一会長)主催、酒田研醸会(茨木高芳会長)主管で、新酒が出来上がる毎年この時期に開き27回目。全国の鑑評会でもトップレベルの高い入賞率を誇る県内の各酒蔵は、この利き酒会で高い評価を得た酒を鑑評会に出品しており、全国に向け品質をチェックする最初の関門と位置付けている。
今回は庄内地方14、内陸3、秋田県10、新潟県3の計30メーカー・33場が合わせて148点を出品。昨年より3メーカー、11点増えた。ほとんどが酒造好適米の山田錦を35%まで磨いて仕込んだ大吟醸酒で、会場はフルーツのような特有の吟醸香で包まれた。
仙台国税局鑑定官室などの酒造技術専門職員、各造り酒屋の杜氏(とうじ)らが審査。ずらりと並んだ瓶から利き酒用のグラスに注がれた新酒を、香りを確かめてからひと口含み、味や全体のバランス、熟成具合などを確かめた。会場には緊張感が漂い、静けさの中に酒をすする音だけが響いていた。
杉勇蕨岡酒造場(遊佐町上蕨岡)の社長でもある茨木会長は「酒米は硬さが目立った一昨年に比べて昨年はまずまずの品質。ただ、ばらつきがあった。しかし、どの蔵元も高い技術でカバーし、例年通りきれいな味に仕上げたようだ」と話している。