2014年(平成26年) 6月5日(木)付紙面より
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地域の絹文化と産業を広めようと鶴岡市が取り組む「鶴岡シルクタウン・プロジェクト」の一環で3日、市内の幼稚園や保育園、小中学校、福祉施設などに蚕の飼育キットが配布された。約1カ月で繭を作り、回収した繭を製糸しウエディングドレスに仕立てる。
全国で唯一、養蚕から絹製品を作る一貫した生産体制がある地域特性を生かそうと、2010年度にプロジェクトがスタート。蚕の飼育体験は、「伝統を伝え命の大切さを学んでもらいたい」と県蚕糸業会の協力で同年度から始まった。
5年目の本年度は38施設が参加し、体長1センチほどの小さな蚕約30匹が入った箱と桑の葉がセットとなった計79キットの無料配布を受けて飼育。また、プロジェクトの市民応援団「繭人(まやびと)」と松ケ岡開墾場が加わり、秋の蚕と合わせて1万7000匹を飼育する。
この日は各施設へのキットの配布と説明会が同市羽黒町松ケ岡の松ケ岡開墾場・本陣であり、元県蚕業普及員の菅原久継さん(61)=同市大岩川=が「直射日光に当てない」「農薬や殺虫剤は近くで使わない。たばこの煙もきつい香りの化粧品も駄目」「生き物を大切に育てるということを子供たちに伝えながら飼育して」などアドバイス。今年で飼育4年目という市東部保育園の阿部恵理保育士は「蚕は成長が早く目に見えて大きくなるので、子供たちも喜んで飼育を手伝う。子供たちなりの気付きもあるようです」と話した。
飼育した蚕の繭を生地にして鶴岡中央高「シルクガールズ」が秋にウエディングドレスを作る予定。