2015年(平成27年) 2月14日(土)付紙面より
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酒田市山元の古民家「旧阿部家」(市指定文化財)で11日、恒例の「小正月」行事を楽しむ会が開かれ、市内外の家族連れが「なし団子」作りや雪中田植えなど、五穀豊穣(ほうじょう)を願って行われた昔の行事や遊びを体験した。
旧阿部家は1690(元禄3)年に建てられた肝煎(きもいり)の住宅で、1984年に旧平田町が文化財に指定している。小正月行事は住民有志による「旧阿部家の四季を楽しむ会」が毎年この時期に開催。30回目の今年は市内を中心に鶴岡市や庄内町を含め、家族連れ約40人が参加した。
初めに土間で、臼ときねで餅つきを体験。引き続きいろりのある座敷に移り、ついた餅を団子にし、ミズキの枝に付けるなし団子作りに挑戦した。子供たちは温かい餅の感触を楽しみながら丸め、紅白の団子の花をたくさん咲かせた。
3回目の参加という琢成小5年、佐藤紘太君(10)は「昔の行事や遊びは面白い。いろりが好きで、将来家を建てたらいろりを作りたい」と話した。
旧阿部家の四季を楽しむ会の長谷部善也会長(89)=酒田市砂越緑町=は「ミズキの枝を使うのは、農作業で水に不自由しないように。小正月の行事の多くは豊作の願いが込められている」と話した。
その後は屋外で、稲わらと豆殻の束を雪に植えて豊作を予祝する「雪中田植え」、そり遊びの後、昼は雑煮で会食。午後からは長谷部会長から小正月の話を聞いた後、健康を願って行う廿日灸(はつかきゅう)、煎餅釣りなどの昔の遊び、かまくら参りなどを体験した。