2015年(平成27年) 6月5日(金)付紙面より
ツイート
鶴岡市本町三丁目の「田元小路地蔵尊」で4日、例祭が行われた。周辺の住民がお堂に足を運び、車座になって「数珠回し」をしながら身体堅固などを祈るとともに、地域の絆を確かめ合った。
同地蔵尊は、南北約200メートルの小路を中心とした閑静な住宅地にあり、「安産地蔵」と親しまれている。禅龍寺(同市新海町)の末寺で、以前は本堂があったとされるが現在は地蔵庵と、地蔵様を祭るほこらが残されている。
例祭は毎年6月4日に行われ、かつては大勢の地区民が参加していた。しかし時代の流れにより次第に参加者が減少。地域伝承の廃れを危惧した地元有志が、2012年ごろから地域へ参加を呼び掛けている。
この日、午前10時から地蔵庵で例祭が執り行われた。例年は前日から境内や近隣の住宅軒先などに地口行灯が設置されるが、あいにくの雨のため今回は庵の中にぶら下げた。
禅龍寺の木村宏嗣住職がお経を上げた後、地元住民12人が車座になって数珠回し。10メートルを超える長い数珠を全員で手に持ち、歌うように「南無阿弥陀仏」と唱えながら5回ほど反時計回りに数珠を回し、大きな玉の部分を額や胸に当て身体堅固や家内安全を願った。
講長の菅原茂晴さん(79)は「数珠回しに参加した皆さんが、各家庭で若い世代へ地域の行事をしっかりと教え伝えていくことが大事。地域の絆がこうした文化で成り立っていることを後世につなげていきたい」と話していた。