2016年(平成28年) 9月28日(水)付紙面より
ツイート
遊佐町の吹浦小学校(伊藤順一校長、児童76人)の6年生が29、30の両日、修学旅行で宮城県の仙台・松島方面に行き、同校敷地内に自生したクロマツの苗木50本を同県東松島市に寄贈する。全校児童が参加して27日朝、苗木の採取作業が行われた。
周囲をクロマツ林に囲まれた同校では、2007年の新校舎供用開始以降、体育館西側にある砂利敷きの箇所に種子が飛散して自生。特別な栽培はしていないものの、「日当たりの良い箇所。ここ1、2年、目に見えて成長している感じがする」(伊藤校長)という。
現在は大きいもので約50センチまで成長。同校でこのクロマツの有効活用を模索していた際、11年3月の東日本大震災で壊滅的な被害を受けた東松島市でマツ林再生への活動が行われていることを知り、旅行会社を通して同市に寄贈を打診。同市は受け入れを快諾した。
その後、奉仕活動などを繰り広げる児童会エコボランティア委員会(石井竜稀委員長)を中心に6年生は、修学旅行に向けた事前学習などで同市について理解を深めてきた。
この日は全校児童、伊藤校長はじめ教職員が参加。委員たちが東松島市を紹介した後、採取方法を解説した。作業では委員、教職員の指導を受けた児童たちが、移植べらを使って青々と力強く伸びるクロマツの苗木を根ごと採取、水に浸した新聞紙、さらにビニール袋で根を中心に包んだ。
石井委員長(11)は「みんながしっかりやってくれてうれしかった。東松島の現状を見ると、まだ大変だという思い。少しでも復興の役に立てたら」、伊藤校長は「1、2年生の中には大震災を知らないという児童もいる。大震災を風化させないためにも今後も継続したい。苗木の植栽を手伝うなど交流がさらに広がれば」とそれぞれ話した。
6年生15人と教員は苗木を持って29日夕、同市庁舎を訪問。市が主催する寄贈式に出席する予定。