2017年(平成29年) 7月21日(金)付紙面より
ツイート
災害時に学校の体育館などに開設される「避難所」の運営に向けた事前協議が18日、酒田市の松陵学区コミュニティ防災センターで開かれた。市が松陵小学校区をモデル地区に初めて実施したもので、同学区内の住民組織や小・中学校、市の関係者らが市の手引に従い、鍵の保管や施設の利用方法などを話し合った。
避難所は、災害で帰宅が困難になった住民らが一時的に滞在する場で、市町村長が事前に公共施設を指定する。有事は住民が自主的に立ち上げ運営するため、関係者が事前協議で利用方法などを決めておく必要があるが、そうした事前協議や運営訓練は全国的にあまり行われておらず、課題となっている。
酒田市では本年度、小学校区単位を基本に地区ごとに事前協議を行い、12月末までに市内全域で避難所運営マニュアルを作る方針を掲げた。これに向け、市危機管理課では事前協議のための手引「避難所運営マニュアルの作成に向けて」と、マニュアルのひな型を作成した。
松陵学区は、9月3日に県・市総合防災訓練が行われるため、モデル地区とした。この日は松陵コミュニティ振興会の斉藤憲吾会長、松陵小の佐藤文雄、酒田一中の松本克則両校長、市のまちづくり推進課や危機管理課、教育委員会の関係者ら約20人が参加した。
危機管理課職員が、学区内の避難所は松陵小と酒田一中、コミュニティ防災センター、親子スポーツ会館、酒田光陵高、市武道館の6カ所あり、このうち松陵小と酒田一中で優先的に開設するなど概要を説明。その後、手引に沿って鍵の保管や開錠、施設内の立ち入り禁止区域などについて協議した。
学校の鍵は、松陵小ではスポーツ少年団の指導者、酒田一中では近隣住民もそれぞれ保管しており、参加者からは「スポ少の指導者に、有事は開錠してもらう役割の周知を」「一人しか持っていないと負担感が大きい。コミセンでも持つべき」「保管者の一覧表を作り、関係者が共有すべき」などの意見が出た。
その他、「避難所運営では女性の意見も大切。こうした協議の場にも女性を」「学校以外でも避難所を円滑に運営できるように、若い人を育てていく必要がある」などの意見が出た。
同学区では今月下旬にも2回目の協議を行い、8月末まで避難所運営マニュアルを作成、9月3日には運営訓練を行う予定。
市危機管理課では「事前協議をしておくことで有事の対応は全く違うといわれる。こうした取り組みが市民の安心・安全につながれば」とする。協議は各地区で順次進めていく方針。