2017年(平成29年) 11月25日(土)付紙面より
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旧庄内藩と西郷隆盛との交流を学ぶ「西郷隆盛と『徳の交わり』シンポジウム」が23日、鶴岡市の出羽庄内国際村で開かれた。来年のNHK大河ドラマ「西郷どん」の放映を控える中、関心の高さをうかがわせる約300人が参加し、西郷のひ孫である西郷隆夫さんの講演と地元関係者のシンポジウムで歴史を再認識した。
庄内における先人の気概を振り返り、地域の気質文化に触れ郷土愛を醸成するとともに、地域発展の一助にしようと、県庄内総合支庁が企画。隆夫さんは西郷の嫡男寅太郎の孫。百貨店勤務を経て、鹿児島市で歴史と文化を楽しめる「西郷隆盛銅像展望ホール・K10カフェ」を経営。隆夫さんが来県し講演するのは初めて。
この日は2部構成で、初めに隆夫さんが「西郷隆盛を語る」と題し講演。父親から「北(庄内)へ足を向けて寝るな」と言われて育ったなど鹿児島弁でユーモアたっぷりに語り、「庄内ってどんな所か、どんな人たちなのかいつも妄想していた。空港に降り立ち、庄内柿を頂き、150年前にタイムスリップしたかのよう。今年一番の記念日。感無量」と切り出した。
自身の生い立ちを語りながら、死に際まで西郷の話を聞かせた父親の姿を通し、「(歴史は)聞き続けること、言い続けることが大事」と語り、「人を相手にするな、天を相手にしろ」など南洲翁遺訓の一節をそらんじながら「歴史を学ぶというのは先人が何を信じ、何を恐れ、何を大切にしてきたのか。遺訓を読み、現代文に訳し、今だったらどうすべきか。遺訓から学ぶことができる」と話した。
引き続き、第2部では旧庄内藩酒井家19代の酒井忠順さんをコーディネーターに、旧庄内藩主が開墾した松ケ岡開墾場の山田鉄哉理事長、荘内南洲会の水野貞吉理事長、西郷と徳の交わりを結んだ菅実秀の玄孫(やしゃご)の菅秀二さんの3人がパネルディスカッション。開墾を契機にした絹産業の興業や遺訓ができた経緯、庄内の人々が教えを受けた姿勢などを語り、酒井さんは「西郷さんから頂いた縁を大切に、これからの地域活性化につなげていきましょう」と結んだ。