2019年(平成31年) 3月8日(金)付紙面より
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酒田市山元の坂本集落に春の訪れを告げる神事「でごぐり百万遍念仏」が6日午後、集落の鎮守・貴船神社で繰り広げられた。地区民が長さ約7メートルもあるわら製の数珠「念仏綱」を拝殿にたたき付けたり、体にこすり付けて身体堅固などを願った。
「でごぐり」とは「たたく」といった意味で、念仏を唱えながら念仏綱を床にたたき付けることで邪気を追い払い、豊作や身体堅固を願う。春を呼ぶ神事として集落に古くから伝わっている。
この日は午後1時ごろから三々五々、1・5メートルほどの綱を手に地元住民が神社拝殿に集まり始め、9人が参加。持ち寄った綱をつなぎ合わせて「念仏綱」にした後、念仏と太鼓、鐘に合わせ、車座になって回し始めた。「ナデ」と呼ばれる飾りの部分を床にたたき付けたり、体にこすり付けて祈願。10分ほどで綱はぼろぼろになり、拝殿にはわらくずが飛び交った。
神社周囲に雪はなく、例年にない穏やかな日和の中、拝殿には多くのアマチュアカメラマンが集まり、盛んにシャッターを切っていた。集落代表の長堀斉さん(75)は「坂本集落はわずか8戸しかなくなったが、多くの皆さんから協力してもらいながら今後も続けていきたい」と話した。元の長さに解かれた綱は参加者各自が持ち帰り、ササやスギの葉などと一緒に敷地内や玄関に飾り、厄よけにするという。