2019年(令和1年) 7月20日(土)付紙面より
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酒田市は19日、保存・活用計画を進めている旧割烹小幡(日吉町二丁目)の運営予定者として、食肉・外食の平田牧場(本社・同市、新田嘉七社長)に決定したと発表した。
市の公募に対し、市内の飲食業者2社から応募があり、今月12日に希望ホールで開かれた公開プレゼンテーションで2社が事業内容を提案。民間5人を含む審査委員会(委員長・矢口明子副市長、委員8人)が事業計画や販売・仕入れ計画、地域連携の在り方などを審査していた。
市交流観光課によると、800満点(審査員1人の持ち点100点)で、A社は520点、B社(平田牧場)は647点を獲得した。規定で、6割以上を獲得したA社は次点者となった。
平田牧場はプレゼンで「ここにしかない 日和山の、瞰海楼(かんかいろう=小幡の通称)へ―文化が香り立つこの場所に新たな命を吹き込む」をテーマに、「市民の憩いの場を基本に、市外からも誘客を図り、日和山界隈(かいわい)の中核を目指す」などと発表。和館1階はオープンキッチンを配置し、イートインコーナーやテークアウトメニューの提供、市が運営する2階ではコミュニティースペースやコワーキングスペース、有事の避難場所、洋館では季節ごとの食材を生かした料理、大正期の「小幡洋食部」の復活メニュー提供などを提案した。
審査結果について、矢口副市長は「平田牧場の提案は、瞰海楼を復活させ、日和山のにぎわいの拠点とする計画や自社の食に対する安心安全な取り組み、確立したブランドを活用した誘客計画など、酒田の新たな観光シンボルとなることを大きく期待させる内容。和館2階も公益性の高い活用の提案で、評価が高かった」とコメント。
市は改修事業の工事予算を9月定例市議会に諮り、年内にも着工。2021年4月のオープンを目指す。
小幡は1876(明治9)年、酒田港を見下ろす日和山頂上に開業。1998年に廃業後、映画「おくりびと」のロケ地となった。市が建物を取得して補強・改修し、新たなにぎわい創出の拠点として整備する計画を進めている。主な建物として東側の洋館(コンクリート・木造混構造3階建て、延べ床面積約126平方メートル)、西側の和館(木造2階建て、同約512平方メートル)があり、洋館と和館1館は民間が長期独占エリアとして運営、和館2階は公共スペースとして指定管理(または市直営)で運営する方針で運営予定者を公募した。