2020年(令和2年) 1月11日(土)付紙面より
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鶴岡市と同市櫛引地域の田代地区自治会(菅原多喜雄区長)、渡会電気土木(武田啓之社長)は10日、地震など大規模災害時の地域住民の一時的な避難受け入れに関する協定を結んだ。同社が停電時にも利用できる蓄電池を備えた太陽光発電設備を新たに整備した田代工場について、同地区約70世帯、計約270人全住民の「いっとき避難所」として開設し避難者を受け入れるもので、自治組織と民間企業による協定締結は同市では初のケースとなる。
暖房燃料の木質ペレット製造を主に手掛ける田代工場は本年度、一般財団法人環境イノベーション情報機構(東京)の補助を受け、リニューアルした工場施設に最大発電能力150キロワットアワーの太陽光パネルを設置した。電力は工場内の使用電力の一部として活用するが、避難所として開設する場合は蓄電池により停電時でも3日間程度の運営が可能となっているため、渡会電気土木が工場のある田代地区自治会に一時的な避難所としての提供を申し出て、市を加えた3者で避難者受け入れ協力に関する協定を結ぶことになった。
協定では、災害発生時または災害が発生する恐れがある場合に、市や田代地区自治会が、同社に対し田代工場の施設の一部を一時的な避難所として開設するよう要請。これを受け同社は敷地内にある事務所や工場で避難者を受け入れるほか、避難所運営のための電源供給、井戸ポンプによる給水などを提供し避難者を支援する。
協定締結は市役所で行われ、3者の代表が協定書に調印した。市地域防災計画で田代地区の一次避難場所は集落内の広場、二次避難所は地区から約3キロ離れた櫛引東小学校が指定されている。皆川治市長は「近くに避難所があることは、いざというときに大変有功」、武田社長は「地域から大規模災害の際の一つの安心材料と思ってもらえれば、うれしい」、菅原区長は「備えあれば憂いなしであり、安心への備えの協力に感謝したい」と述べた。3者は防災訓練などを通じて地域住民に周知を図ることにしている。