2021年(令和3年) 5月30日(日)付紙面より
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「しのたまわく、まなんでしこうしてこれをじしゅうす(子曰学而時習之)」―。旧庄内藩校「致道館」の学風を受け継ぎ、半世紀を超えて続く「少年少女古典素読教室」の本年度開講式が29日、鶴岡市の致道博物館内の御隠殿で行われた。小中学生たちが7月末まで2カ月間にわたり、「論語抄」の素読を通じて地域に息づく伝統の学風に触れる。
素読は致道館が奨励した学習法の一つで、中国古典の漢文を大きな声を出して読むのが特徴。教室は、同市が1968年度から2年間、当時の文部省の文化財愛護モデル地区に指定されたことをきっかけに始まり、継続されている。現在は市中央公民館、致道博物館、致道館文化振興会議が共催し開講している。昨年度は新型コロナウイルスの影響で休止された。
2年ぶりの開講となる本年度は市内の小学3年から中学3年までの男女6人が受講し、初めての参加者が4人いる。マスク着用など新型コロナ対策を講じながら7月末までの毎週土曜日に40分間、学習。夏休み期間の7月26―31日は午前5時40分から早朝素読に取り組む。
開講式には受講生と保護者、講師陣が出席。主催者の熊坂めぐみ中央公民館長、酒井忠久致道博物館長、橋本政之致道館文化振興会議会長があいさつし、「素読を通して一つでも好きな言葉を見つけてください」などと激励。テキストとなる論語抄の冒頭の一節を全員で素読し、2年ぶりに御隠殿に子どもたちの元気な声が響いた。
初めて受講する朝暘一小6年の高田容玄(やすはる)君、同3年の佳志(よしゆき)君の兄弟は「小学校最後の年だからやってみようと思った」「音読を上手になりたい」とそれぞれ元気に話していた。