2023年(令和5年) 2月5日(日)付紙面より
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山形大学は3日、酒田市やNTT東日本などと連携し、同市の日向地区で、遠隔診療の実証実験を4月から始めると発表した。拠点となる日向コミュニティセンターに遠隔診療機器を設置したり、機器を搭載した「医療カー」を地域内に走らせるなどして、住民が手軽に健康相談できる環境を整える。
看護師乗り込み
医師がリモート
山形大はNTT東日本と共同で2021年10月から、常駐医師がいない同市飛島の飛島診療所と、日本海総合病院、松山診療所をリモートでつなぐ遠隔診療の実証実験を行っている。患者の顔色が鮮明に伝わるよう、同大が研究開発する有機ELディスプレーなどを活用している。
今回、中山間地域での実用性を検証するため、医療過疎地の日向地区で新たに実験を行う。日向コミセンには遠隔診療機器や大型モニターを設置し、日本海総合病院の医師がリモートで診療する。また、東北公益文科大学が中心となって高齢者と子どもの交流や小中学生の居場所づくりなどを進め、コミセンでの住民間の交流を促す。
医療カーは軽トラックを改装したもので、常駐する看護師1人が地域内を巡回し、可搬型の機器で診療を行う。現在の遠隔診療機器は医師と患者が画面越しに会話をする程度の機能にとどまるが、今後血圧や脈拍が計測できるシステムも開発していく。
この日、同大小白川キャンパスで開かれた記者会見で丸山至酒田市長は「中山間地域で、医師の乗らない移動診療車両を普及するための出発点にしたい」と期待を述べた。