2023年(令和5年) 12月10日(日)付紙面より
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「大黒様のお歳夜(としや)」の9日、庄内の鮮魚店では大黒様にお供えするハタハタ焼きに追われた。長く庶民の味として親しまれてきたが、最近は庄内浜の水揚げが極端に少なくなり高級魚としてのイメージが定着した。鶴岡市内の鮮魚店では「ハタハタを仕入れるだけで大変だった」と対応に苦慮した。
創業60年目を迎えた老舗「坂尾鮮魚店」(鶴岡市千石町)では初代・坂尾俊三さん(85)と2代目店主・和彦さん(61)ら家族総出でハタハタ焼きを進めた。店によると地元庄内のハタハタはほとんどなく、秋田や青森から取り寄せた。
和彦さんは「全盛期だった時代は1200匹前後焼いていたが今年は400匹ほど。昨年と比べたら半分。『欲しい』というお客さんに売れない。魚屋としてこれほどつらいものはないよ」と胸の内を明かす。それでも9日午前0時から作業を始め、焼き終えるのは午後4時ごろになるという。店には午前中から焼き上がったハタハタを買い求める常連客が絶え間なく続いた。
鶴岡市内のスーパーでは「大黒様」用の納豆汁に入れる具のほか、黒豆や「なます」を売るコーナーも設けられ、年の瀬を告げた。